驚異の外形「世界一長~い飛行機」輸送機としてイケる? デカさは“最強格”…しかしネックも

実用化すれば世界最長の全長を持つ輸送機となる「ウィンドランナー」。この機は別の目的で開発されますが、メーカーは軍用輸送機として活用する計画もあるようです。このマーケットで通用する存在となるのでしょうか。

ウィンドランナー」軍用輸送機化、ネックは?

 ソ連の宇宙船輸送専門機として作られたのち輸送機に転用したAn-225「ムリヤ」のように、航空機は当初の開発目的から役割の拡大が求められることがあり、「ウィンドランナー」も例外でないといえます。ただし、軍用輸送機としてネックになると想像されるのは、発表されている航続距離が2000kmしかないことです。

「ウィンドランナー」は当初、アメリカ国内の輸送を考えていたため長大な航続性能は要求されなかったのでしょう。しかし、現在の軍用輸送機、ことさら「ウィンドランナー」のような巨大な機体は、長大な航続性能が求められることが一般的です。

 ラディア自体はヨーロッパ地域での機体生産も視野に入れ販路を広げようとしていますが、それが実現しても、この航続距離ではヨーロッパ域内の輸送に特化されてしまうとも思われ、ここが同地域内におけるセールス上のウィークポイントになるかもしれません。

 現代の軍用輸送機が大小を問わず全長と横幅のバランスや形状が似通っているのは、開発時から様々な貨物の搭載を求められ、航続距離ともバランスを取って来た結果です。

 これに対して、風力発電の羽根の運搬という単一の目的から機体外形が定まったため、デザインが標準的なものから大きく外れることになった「ウィンドランナー」が、軍用輸送機として通用するか――。その大きさ・デザインゆえに注目度も高いといえます。

【写真】形もヘン…これが「世界最長の飛行機」驚愕の全貌です

Writer:

さがら せいぞう。航空月刊誌を中心に、軍民を問わず航空関係の執筆を続ける。著書に、航空自衛隊の戦闘機選定の歴史を追った「F-Xの真実」(秀和システム)がある。

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