「フランス機を撃墜した中国戦闘機」次に狙うのは米国製F-16の後釜か? お膝元のパリでPR!
フランスの首都パリで開催中の航空ショーで「ラファール」戦闘機を撃墜した中国製の戦闘機とミサイルが模型で展示されていました。性能的にはアメリカ製のF-16に比肩するとか。今後、導入する国は増えるのでしょうか。
F-16が絶対に買えない国がある?
アメリカではこれまでにF-16戦闘機とAIM-120ミサイルを、自軍だけでなく、外国軍にも輸出しています。

また、改良された最新型のF-16は第4.5世代戦闘機とも言われており、これに撃ちっぱなし式の空対空ミサイルであるAIM-120を組み合わせることで、どの空軍も近代的な空中戦に対応できる能力を得ることができます。ちなみに、これら装備を輸入した国々は30か国以上にも増えており、もはや世界の空軍における標準的な装備品になっています。
とはいえ、その輸出については、アメリカ政府によって厳しく管理されており、F-16のメーカーであるロッキードマーチン社と、AIM-120のメーカーであるレイセオン社は、自由にこれらを外国に販売することはできません。輸出については米国務省と国防安全保障協力局(DSCA)が管轄するFMS(対外有償軍事援助制度)を通じて、政府間同士でしか取引することができず、これは事実上アメリカ合衆国と利害対立のある国には輸出できないことを意味します。
そういった国々にとっては、J-10CEとPL-15Eの組み合わせは、F-16やAIM-120の代わりとなる新たな選択肢であり、アメリカ政府が外交上の判断で軍備増強を阻止したい国でも、空軍力の近代化が行えることを意味します。
これまでは性能が未知数だった中国の戦闘機ですが、今回のパリエアショーでの輸出アピールや、パキスタン軍によるフランス製戦闘機の撃墜という事実は、今後の国際マーケットにおいてJ-10CEの存在感を強める呼び水となるのは間違いないでしょう。
これまで、J-10CEを導入したのはパキスタンだけですが、2025年7月現在はイラン、マレーシア、インドネシアなど複数の国が導入を検討している模様です。今後、導入する国が増えれば、世界の空軍力のパワーバランスに大きな影響を与えるかもしれません。
Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)
雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info
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