ロシア軍がアメリカの戦闘車を“謎カスタム” しかも性能ダウン!? なぜ機関砲を大きくしたのか

ロシア軍が、M2ブラッドレー歩兵戦闘車の写真をSNSに投稿しました。注目されたのはその機関砲です。オリジナルの25mm M242から、ロシア製の30mm 2A72に換装されていました。ここから、どのようなことが考えられるでしょうか。

M2ブラッドレーの武装改造は初確認

 2025年6月中旬、ロシアが鹵獲(ろかく)したM2ブラッドレー歩兵戦闘車の写真がSNS上に投稿されました。注目されたのは、オリジナルの25mm M242ブッシュマスター機関砲が、ロシア製の30mm 2A72機関砲に換装されていた点です。

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ロシア国防省がSNSに投稿した30mm 2A72機関砲を装備したM2ブラッドレー歩兵戦闘車(画像:ロシア国防省X)

 M2ブラッドレーはアメリカからウクライナに供与されたもので、少なくとも12両程度がロシアに鹵獲されたとみられていますが、武装の改造が確認されたのは今回が初めてです。

 30mm 2A72機関砲は、BMP-2歩兵戦闘車などに装備されるロシアの標準的な装甲車用機関砲です。M2ブラッドレーやBMP-2のような歩兵戦闘車の主任務は、歩兵の輸送と支援であり、25~30mm機関砲が主武装とされます。対戦車ミサイルも搭載されていますが、敵戦車との交戦は自衛的なもので、積極的に戦車に挑むのは危険とされています。戦車の相手は基本的に戦車がすべきというのが常識です。

 しかし、2024年1月、ウクライナ軍のM2ブラッドレーが25mm機関砲でロシア軍のT-90M戦車を激しく射撃し、混乱状態に陥った戦車に自爆ドローンが突入して行動不能にしたとされる動画が投稿され、大きな話題となりました。

 M2の25mm機関砲で戦車を行動不能に追い込んだ事例は、これまでも報告されています。多数の命中弾があれば、装甲を貫通しなくても反応装甲が作動し、センサー類が破損、車内の機器にもダメージが及びます。そこで乗員がパニックに陥れば、車両の制御も困難になり、結果として戦闘不能に陥るのです。機関砲が対戦車戦闘においても一定の効果を持つことは、実戦で実証されています。

 では、ロシアが、鹵獲したM2ブラッドレーの機関砲をわざわざ30mmに「口径アップ」したのは、火力強化のためだったのでしょうか。

 ロシア国防省傘下の研究機関「第38研究所」がM2とBMP-2を比較したレポートによると、M2の25mm M242機関砲の方が、30mm 2A72よりも優れていると評価しています。M242の精度は2A72の2倍で、有効射程も長く、25mm APFSDS(装弾筒付翼安定徹甲弾)の装甲貫通力は、30mm AP(徹甲弾)の2倍とされています。

 ただし、APFSDSは高価です。では、なぜあえて性能の劣る30mm機関砲に換装したのでしょうか。

【魔改造?】ロシアで姿を変えたM2ブラッドレーを見る(写真)

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