「アルファロメオ+ランチア」に八丁味噌を少々!? 愛知生まれの “イタリア車” いろいろ残念でした

2001年にトヨタが発表した「ヴェロッサ」は、アルファロメオやランチアをモチーフにした“なんちゃって”イタリア車として誕生しました。ただ、肝心のスタイリングにまるで魅力がなく販売は低迷。トヨタはどうしたかったのでしょうか。

イタ車ファンの夢を叶えます! トヨタが作った和製イタリア車

「ヴェロッサ」の最大の特徴は、担当デザイナーがイタリア車の影響を否定しなかったエクステリアです。

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トヨタ「ヴェロッサ」とほぼ同時期に世界的な人気を博したアルファロメオ「156」。ワルター・デ・シルバの代表作のひとつだ。伝統の縦型グリルを起点に立体的な造形で調和の取れた美しいフロントマスクを表現。全体のフォルムによく馴染んでおり、古典的ながら見事なスタイリングに仕上げている(画像:アルファロメオ)。

 フロントマスクはアルファロメオを彷彿とさせる意匠でした。ラジエターグリルを中央に配置し、そこを起点としてボンネット上にプレスラインが奔り、一段奥まった場所にあるインテークを挟み、左右の両端に縦長のヘッドランプを配すという、なかなか凝った造形です。例えるなら、そのルックスはアルファロメオ「156」とランチア「テージス」を足して2で割り、そこに八丁味噌を加えたようなものでした。

 ただ、それがカッコイイかと言われると、さにあらず。ハッキリ表すなら「どうしてこうなった?」と呟きたくなるほど「ヴェロッサ」はブサイクなのです。

 それというのも基本フォルムはあくまでも保守的な「マークII」なのに、ボディ外版の3センチ以内の凹凸で無理やりイタリアンルックに変身させたようとした結果なのでしょう、どうにもアンバランスなスタイリングになっています。インテリアについても、アルファロメオの雰囲気を出そうと丸型のエアコンルーバーを採用したのでしょうが、基本が「マークII」のレイアウトなので調和がまったく取れていません。

 スタイリングに関して個人的な好みがあることは重々承知していますが、「ヴェロッサ」はそれ以前の問題として、カーデザインの文法を完全に無視したうえで失敗しており、ワルター・デ・シルバの最高傑作との呼び声高いアルファロメオ「156」を横目で見ながら開発作業を進め、かくも醜いクルマを「イタリアンデザインでござい」と世に送り出すトヨタの神経には開いた口が塞がりませんでした。

 もちろん、中身は「マークII」なので、乗れば静かで快適、少々運転が退屈なことを除けば、ごくフツーのトヨタ製セダンです。トップグレードの「VR25」には、トヨタ自慢の280馬力を発揮する直列6気筒ターボの1JZ-GTE型エンジンが搭載されているので、速いことは間違いありません。

 ただ、クルマとしては速いものの、足回りのバランスが悪いので安心してアクセルを踏むことができず、イタリア車の官能性など微塵も感じられない出来でした。

【イタ車の欠片もない…】これが「ヴェロッサ」の内装です(写真)

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