護衛艦での歴史的大改革「航海中にネット使える」Z世代に配慮した環境改善の感想は?

「令和7年版防衛白書」で「スターリンク」通信が可能になった後の海上自衛官の声を紹介しました。

個人の端末で通信が可能になった!

 防衛省は2025年7月15日、「令和7年(2025年)版防衛白書」を発表し、「自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立」の項目において、衛星通信サービス「スターリンク」導入後の海上自衛官の声を紹介しました。

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護衛艦「きりしま」(画像:海上自衛隊)

 海上自衛隊では、2024年5月より、スペースXが提供する衛星通信サービス「スターリンク」を、幹部候補生が乗艦する練習艦「かしま」および「しまかぜ」において試験運用。これを受け、防衛省は令和7年度(2025年度)予算案において、48隻分のスターリンク整備費を計上し、2028年度までに主要艦艇への搭載を完了する見通しです。

 通信環境の改善に関しては、スターリンクを設置した練習艦に乗艦経験のある、現在は護衛艦「きりしま」にて勤務する野島優希子2等海尉のコメントが紹介されています。

 野島2等海尉は試験運用で搭載された「スターリンク」について「洋上でも家族とSNSを使用して連絡を取ったり、YouTubeにアップされた家族の様子を動画で見ることができました」と話し、「長期間の出港でしたが、個人の端末を使用して家族と定期的に連絡を取り、また、日々の様子を見て身近に感じることができたため、安心して勤務に従事することができました」と明かしています。

 従来、海上自衛隊の艦艇では、訓練時間外であっても通信可能な場面は限られており、航行中に陸地の近くを通過する際にわずかに電波が届く場合にしか通信ができませんでした。

 しかし、スターリンクは、地球低軌道(LEO)を周回する数千基の小型衛星によって構成されており、地球全体をカバーするよう設計されているため、遠洋航海中でも安定した通信が可能です。これにより、スターリンクは海上自衛隊にとっても信頼性の高い通信インフラとなっています。

 なお、スターリンクの導入は、「若い世代のライフスタイルに合った生活・勤務環境の構築」を掲げる令和7年度予算案の主要施策の一つです。このほかにも、海上自衛隊の乗組員用居住区を大幅に改良し、カプセルホテルと同様のカプセル型ベッドを採用する計画など、若年自衛官の確保を目的とした環境整備が進められています。

【画像】この板のおかげか…! スターリンクを設置を行う護衛艦

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