「おいSL動いてないぞ」 まさかの“SL列車まるごと牽引”で波乱のデビュー!? 「最新車両」を連結した“異色編成”とは?
SL列車の新たな牽引車両として、新型の電気式気動車GV-E197系が営業運転を開始しました。デビュー初日は、SLの不具合により途中駅で運転打ち切りになりましたが、2日目は予定区間を完走しました。
3つの行き先がある高崎のSL
高崎地区で運転されているSL列車は、上越線・信越線・両毛線の3方面で運転されています。上越線では「SLぐんま水上」として、通常はSL+客車で運転されていますが、補機(補助機関車)が連結されることもあります。
信越線方面では「GV・SLぐんま横川」「SL・GVぐんま横川」として運転されていますが、GV-E197が営業運転に就く前は先の通り「SLぐんまよこかわ」などの列車名でした。
両毛線方面の運転は珍しく、今回運休となってしまった列車名は「SL・GVぐんま桐生」と「GV・SLぐんま桐生」でしたが、それ以前では「SLレトロぐんま桐生」「ELレトロぐんま桐生」などの列車名でした。ちなみに、旧型の客車が使用される際は列車名に「レトロ」が加わります。
「SLぐんま水上」では折り返し駅の水上駅に転車台があり、SLの向きを変えられます。しかし、「GV・SLぐんま横川」や「SL・GVぐんま桐生」などは、折り返し駅となる横川駅や桐生駅に転車台がありません。このため、SLが列車の先頭につくのは片道だけ。もう片方の運転では、GV-E197が列車の先頭に連結されて走ります。
7月20日に運転された高崎行きの「SL・GVぐんま横川」は、D51形に代わりC61形が先頭に立ち、12系客車3両を挟みGV-E197が後ろに2両つながっています。
高崎駅では猛暑のなか、大勢の人々が「SL・GVぐんま横川」の到着を見守っていました。高崎駅では駅係員に「SL・GVぐんま横川」が到着するホームを尋ねている人も見受けられました。
8番線に「SL・GVぐんま横川」が到着すると、列車の前後で大勢の人々が写真や動画を撮影する光景が見られました。この列車ではSLが先頭に立つためか、GV-E197よりもSLのC61形を見守る人の数が圧倒していました。
しばらくすると「SL・GVぐんま横川」だった列車は、大勢の人に見守られつつ、高崎駅の南側にある留置線に引き上げて行きました。
Writer: 柴田東吾(鉄道趣味ライター)
1974年東京都生まれ。大学の電気工学科を卒業後、信号機器メーカー、鉄道会社勤務等を経て、現在フリー。JR線の2度目の「乗りつぶし」に挑戦するも、九州南部を残して頓挫、飛行機の趣味は某ハイジャック事件からコクピットへの入室ができなくなり、挫折。現在は車両研究が主力で、技術・形態・運用・保守・転配・履歴等の研究を行う。鉄道雑誌への寄稿多数。資格は大型二種免許を取るも、一度もバスで路上を走った経験なし。
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