積極的に発展途上国へ警備船を輸出するぞ! 中小造船会社がスクラム構築「ベール脱いだ輸出専用巡視船艇」とは
日本中小型造船工業会が2025年7月、大型水槽での試験を披露しました。これは巡視船艇の海外展開プロジェクトを見据えたものだとか。業界団体の関係者にハナシを聞きました。
同一設計の船を全国5か所の造船所で建造
開発が行われているのは、20m型から44m型までの5船型。技術面でのコンサルタントは日本造船技術センターが行い、海上保安庁の巡視船艇の建造実績がある新潟造船、墨田川造船、本瓦造船、木曽造船、長崎造船がこれまでの経験を生かして設計・開発を実施しています。使用の想定は、フィリピンやインドネシアなどの東南アジアや太平洋諸国の海上保安機関です。

日本造船技術センター(SRC)の上園政裕会長は「中小造工の会員企業が所有する船台の大きさなどを考慮して50m以下の設計を対象とした」と説明します。
「海上保安庁の巡視船艇が持つ安全性、信頼性、作業性等を取り入れつつ、外観はデザインを少し変え若干スピード感のあるような形状にした。35m以上の船についてはブルワークを付けることを計画している」(上園会長)
44m型多目的巡視船と35m型多目的巡視艇は通常の警備救難業務に加えて、機器を装備することで潜水作業や油防除作業などに対応できます。44m型はほぼ全ての海域で安全に航行できるスペックを想定。35m型は主機の出力こそ44m型の半分ですが、速力や性能は同等以上の能力を持たせ、経済性の高さをアピールします。
一方、37m型は警備救難業務に加えて消防艇としての機能も持つ消防機能強化型巡視艇になります。30m型は主船体も含めてアルミ合金製で、ウォータージェットを装備する高速型です。そして20m型は海上保安庁で最も多く配備されているCL型巡視艇と同様のものです。
上園会長は、35m型巡視艇を例に「スピードは26ノット(約48.2km/h)を確保する。ブリッジは各種計器類をできるだけスマートな形で配置できるようにし、士官室や乗組員の部屋には海上保安庁の巡視艇よりも高級感のある家具を置けるのではないかと考えている」と話していました。
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