「路線廃止する」ついに“伝家の宝刀”を抜いた「富山地方鉄道」 世界有数の観光ルートも“分断”か? 残された時間はわずか
経営難にあえいでいるローカル私鉄が、行政の支援を得られなければ2026年秋で2線区を廃止する方針を固めました。世界有数の山岳観光ルートへのアクセス路線も対象に含まれているのには、切実な事情があります。
「選ばれた線区」そのもっともな理由
それでは、富山地鉄はなぜ赤字区間の中でも2線区の廃止方針を固めたのでしょうか。

まず本線の滑川―新魚津間は「あいの風とやま鉄道」と併走している区間で、仮に廃止した場合でも代替路線が確保されているという事情があります。
日中時間帯に中心となっている普通電車は、利用者が多い黒字区間の電鉄富山―上市間と、観光名所の宇奈月温泉へ向かう利用がある新魚津―宇奈月温泉間に重点が置かれています。他に特急が電鉄黒部―宇奈月温泉間を走っていますが、途中の停車駅は新黒部だけで、北陸新幹線(駅名は黒部宇奈月温泉)と乗り継ぐ宇奈月温泉への行楽客の利用を想定しています。
一方、利用者が少ない上市―新魚津間は、日中ならば電車が約2時間おきにしか走っていません。うち滑川―新魚津間は「あいの風とやま鉄道」と併走し、同鉄道は新魚津に隣接する魚津駅と滑川駅の間を日中でもほぼ30分―1時間おきに運転しています。
このため、富山地鉄は滑川―新魚津間を廃止しても「あいの風とやま鉄道」という選択肢が残るため、影響を抑えられると判断しています。
滑川―新魚津間がなくなった場合は電鉄富山と宇奈月温泉を1本の電車で移動できなくなりますが、富山―魚津間は「あいの風とやま鉄道」を使い、富山地鉄に乗り換えて新魚津―宇奈月温泉間を移動することが可能です。富山地鉄本線の普通は電鉄富山―新魚津間が約1時間かかるのに対し、「あいの風とやま鉄道」の富山―魚津間は25分なので、接続が良ければ時間短縮になります。
他方で上市―滑川間は赤字ですが、併走する路線がありません。よって、富山地鉄はこの区間については鉄路を維持し、少ない本数でも運行を続ける方針です。
夏はいいけど「冬は閑古鳥」
一方、立山線の岩峅寺―立山間の廃止方針を固めた背景には、赤字額が大きいことがあります。富山地鉄は2025年度予算で五百石―立山間が2億5234万円の赤字になると見込んでいます。
ただ、五百石―岩峅寺間は通勤通学利用もあり、比較的多くの電車が運行されています。かつ岩峅寺は不二越・上滝線との乗り換え客も使います。
よって富山地鉄は、立山黒部アルペンルートが営業している夏期には登山客らの利用が多いものの、「冬期は閑古鳥が鳴いている」(地元住民)とされる岩峅寺―立山間を廃止する方針を策定しました。
地鉄の儲からない路線はどんどんこの調子でなくなせば良いと思います。慈善事業じゃないからね
そもそも、各停と特急が2両編成で同じ。利用客が違うのに "変" ですね。
経営計画に疑問を持ちます。
繁忙期と閑散期で「編成を変える」工夫が必要と思うのです。
又、並行する私鉄と "同じ駅" に停車しても、御鉄道に魅力が無いと「利用客は増えません」ョ。
ー 早急な改革をするべきです(^^) ー
富山地方鉄道(以下「地鉄」)の前身である富山電鉄が敷かれる際、当時の鉄道省が「北陸本線と並行する路線は好ましくない」とクレームを付けて却下しようとしたが、富山電鉄は「長距離路線ではなく上市を経由する地方交通の路線である」と主張し、何とか認可に漕ぎ着けた歴史がある。
また、北陸新幹線の糸魚川・魚津間建設に伴い、JR西日本から在来線を引き取る打診がなされたが、地鉄は「赤字経営が必至」という事で辞退している。
もし問題の区間が廃止になれば、「立山黒部アルペンルート」や「宇奈月黒部ルート」が立ち居かなくなるし、信越本線みたいに中抜き状態となる。
「「あいの風とやま鉄道」に乗り入れれば良いじゃん」という意見もあるが、「あいの風とやま鉄道」は交流電化だから、地鉄側も交直流電車を導入しなくてはならない。
だが交直流電車を造るには費用が掛かる。