「戦える空中給油機」爆誕!? ドローン放って振り払え! 狙われる「空の守り神」たち

米軍が空中給油機に「自衛用ドローン」の搭載を検討していると報じられています。空中給油機や早期警戒管制機といった「空の守り神」的な軍用機は、同時に脆弱性も抱えています。その防護策が、各国で課題となっているようです。

いずれ無人化されていく? フォース・マルチプライヤーの未来

 スウェーデン空軍とフランス航空宇宙軍が採用を決定したサーブのAEW&C機「グローバルアイ」もビジネスジェットをベースとする非武装機ですが、搭載されている電子戦システム「AREXIS」は、敵性航空機のレーダーを無力化するほか、電子的に自機や味方航空機の幻影を作り出す能力を持つと言われており、従来の早期警戒(管制)機に比べて生存性が大幅に向上しています。

 アメリカ空軍はE-3早期警戒管制機機(AWACS)の後継機としてE-7Aの導入を内定していましたが、ピート・ヘグセス国防長官は2025年5月に、E-7Aでは現代の戦場において生存が困難なため、人工衛星などを活用する宇宙ベースの空中移動目標の認識能力(AMTI)を拡充することで対応すると発表しています。

 そして、その能力が充実するまでは航空自衛隊も運用しているE-2D早期警戒機でカバーしていくべきだと述べており、アメリカ空軍は一旦内定したE-7Aの導入をキャンセルするようです。

 筆者は将来的に、AEW&Cの役割は情報収集衛星やUASが、空中給油機の役割もアメリカ空軍が研究を進めている、高いステルス性能を持つ「NGAS」のような生存性の高い有人機とUASが担うことになると思っていますが、こうした「ゲームチェンジャー」が実用化されるまでの間は、ドローンデリバリーシステムのようなフォース・マルチプライヤーの生存性を向上させるための取り組みは活発化していくものと思われます。

【こいつら100機搭載…!?】これが空中給油機の“自衛用ドローン”です(画像)

Writer:

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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