「LCCより安いじゃん!」な“FSC”の航空会社、実際どうなの? パッと見“神コスパ”の裏で発生しうる“トラップ”とは

“節約派”の海外旅行者にとってまず候補にあがるのが、LCCの利用です。しかし実は中国のフルサービスキャリアでは、それよりも安い運賃でアジア圏の国に行けることもあります。ただ、果たしてこれは本当にコスパが良いのでしょうか。

値段だけに釣られるとマズイ?中華系FSC乗り継ぎの“あるある”

 中華FSCを利用しての第3国へ旅行するには、中国国内での乗り継ぎが必要となります。乗り継ぎに利用するのはそれぞれのハブ空港、つまり中国南方航空は「広州白雲空港」、中国東方航空は「上海浦東空港」が一般的です。

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日本のLCC「ZIPAIR」機(乗りものニュース編集部撮影)。

 同一航空会社同士の乗り継ぎは、出発空港でのチェックインで乗り継ぎ便の搭乗券を発券してもらえる、預け入れ手荷物も最終目的地までスルーで運ばれるなど、難易度はそれほど高くありません。しかし「乗っていれば目的地に着く直行便」に比べ、面倒なことであることは事実です。そして乗り継ぐことで、移動時間の合計も長くなります。

 しかもこれら中華FSCの乗り継ぎでは、乗り継ぎ時間が「1時間半程度」や「5時間以上」など、余裕がない、もしくは極端に長いという例が珍しくありません。

 乗り継ぎ時間に余裕がない場合は、遅延により乗り継ぎに失敗する可能性があります。同一航空会社の乗り継ぎでは後続便への振替を受けることができますが、時間をロスしてしまうことは確実です。

 さらに安い航空券のなかには、上海虹橋空港から上海浦東空港など、乗り継ぐために中国国内で空港間の陸路移動が必要なものもあります。こうなると、同一航空会社の乗り継ぎでも、難易度は一気に上がります。また。乗り継ぎで到着ロビーから出発ロビーに移動する際にもあらためて保安検査が行われますが、このときとくにモバイルバッテリーが厳しくチェックされ、「3C認証(中国強制製品認証)マーク」のない製品など、機内持ち込みが認められない製品は没収されることもあるので注意が必要です。

 一方のLCC直行便は、乗り換えがないというメリットはあります。しかし荷物を預けるとオプションの費用がかかります。また座席の広さは航空会社によって異なりますが、FSCほど広く、かつ設備が充実しているわけではない座席に6時間以上座り続けなければならない場合もあります。とくにLCCで多く採用される3人がけ2列の単通路機での一人旅では、オプションの座席指定を選択しない限り、窮屈な窓側席や中央席にアサインされる確率がかなり高くなります。身体が大きな人にとっては、我慢の時間が長く続くことは確実です。

 乗り継ぎの手間と時間はかかり、モバイルバッテリーが没収されるおそれもあるが、価格が安い中華FSCを選ぶか、直行便ながら座席は狭く、手荷物を預けると中華系FSCとの価格差がより広がるLCCを選ぶか、最終的にはそれぞれの価値観です。

 ただ、安い中華系FSCには「それなりのリスクと面倒がある」ことを理解して、選択していただければと思います。

【画像】マジだ…これが「LCCより安いFSC」驚愕の価格です

Writer:

1966年、福岡県生まれ。自動車専門誌編集部勤務を経て独立。クルマ、PC、マリン&ウインタースポーツ、国内外の旅行など多彩な趣味を通し積み重ねた経験と人脈、知的探究心がセールスポイント。カーライフ系、ニュース&エンタメ系、インタビュー記事執筆のほか、主にIT&通信分野でのB2Bウェブサイトの企画立案、制作、原稿執筆なども手がける。

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