「よーし戦闘機つくるぞー!」 ついにドイツもOKした「ユーロファイターのトルコ輸出」が、“日本にもイイ話”のワケ
トルコがイギリスとユーロファイター「タイフーン」戦闘機の導入に向けて暫定合意を結びました。両国の利益が一致した形となりますが、それぞれどのような事情を抱えているのでしょうか。
トルコへの「ユーロファイター」導入はイギリスにとっても待望の話!
ユーロファイターはイギリス、イタリア、ドイツ、スペイン4か国による共同開発機です。そのため、部品やコンポーネントの生産は4か国の企業が分担しているのですが、最終組み立てだけは、その機体を導入する国や空軍でそれぞれ行われています。

また、この4か国以外へのユーロファイターの輸出はBAEシステムズ(イギリス)、レオナルド(イタリア)、エアバス(ドイツ・スペイン)の3社が分担しており、輸出が成立した場合、当該国向けの機体の最終組み立ては提案を担当した企業が行う仕組みになっています。
ユーロファイターはこれまで、4か国以外にはオーストリア、サウジアラビア、カタール、クウェート、オマーンの5か国に採用されていますが、レオナルドが最終組み立てを行うクウェート向け以外は、すべて完納済みとなっています。
イタリアとスペインについては、空軍力の強化と戦闘機の最終組み立てラインを維持するため、ユーロファイターの最新バージョンである「トランシェ4」仕様機の導入を決めています。ドイツも同様の理由から、トランシェ4仕様機とユーロファイターの電子戦機型「ユーロファイターEK」の導入を決定したほか、初期に導入したトランシェ1仕様機の代替としてトランシェ5仕様機を導入する予定です。
ところが、イギリスだけはトランシェ4仕様機の導入を見送っており、それによってBAEシステムズの生産能力が余剰となる可能性が浮上していました。前部胴体などのコンポーネントを製造するサムルスベリーの工場は、ドイツ向けを中心に長期の業務が確保できていますが、ウォートンに位置する最終組み立て工場は見送りの影響を直接に受けるうえ、輸出向けの受注残もない状況となっていました。
イギリスの労働組合の幹部からは、雇用確保のためイギリスがトランシェ4仕様機を導入すべきだという声も上がりましたが、イギリス政府は空軍にB61核兵器の運用能力を与えるため、2025年にF-35Aの導入を選択。ウォートン工場はまさに“万事休す”の状態に追い込まれていました。
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