開通29年の高速道路に「わざわざ作った新トンネル」完成!? 約300m、一体なぜ? 「これからもっとトンネルっぽくなります」
上信越道に新しい「トンネル」が出現しています。もともとトンネルがなかった場所にわざわざ作ったもの。これから、この上に「山」が作られ、よりトンネルらしい景観になるといいます。
上信越道に「わざわざ作ったトンネル」完成
2025年7月のある日、上信越道を走っていると、車線規制が行われていました。その先には「新しいトンネル」が。もともとトンネルではなかったところに、本線を完全に覆う門型カルバートが完成していたのです。

場所は長野県坂城町、坂城ICの北側「蓬平(よもぎだいら)」地区です。ここは山を大規模に削った切土区間ですが、291mのカルバートが構築され、トンネルのようになっています。
NEXCO東日本 長野工事事務所によると、このカルバートはすでに管理上も「蓬平トンネル」の名で呼称されているとか。中には非常電話なども設置されているそうです。車線規制は内部の舗装工事を実施しているためで、8月に完成するといいます。
なぜここにトンネルを新たに作ったかといえば、その上に「山」を作るためです。
蓬平地区を含む小諸IC-更埴JCT間は1996年に開通しましたが、ここは「流れ盤」と呼ばれる地質のため、建設時から表層崩落が発生するなどしていました。センサー類でいまも地盤の変異を常時監視しているほど、管理上の要注意箇所となっています。
その抜本的な対策として選定されたのが「押え盛土」と呼ばれる工法です。カルバートの上に大規模な盛土を行い、地盤の安定しない山に対して「山を作って変状を抑える」のです。
そして、盛土はいよいよ、この秋から始まります。完成は約3年後、2028年秋の予定。
完成イメージ図を見ると、土を盛ってこんもりと山にするのではなく、斜面の部分と平らな部分を組み合わせており、「段々畑のようになる」といいます。表面はモルタルなどで固めず、盛土だけで変状を抑える計画そうです。
同じ上信越道では現在、群馬県安中市の北野牧地区で、トンネル上にある高さ70mの山(岩塊)を削って崩落のリスクを除去するという、蓬平と真逆の工事も行われています。こちらの掘削土量は約9.5万立法メートルですが、蓬平地区の盛土量は、そのほぼ2倍近い約18万立方メートルとなる見込みです。
蓬平トンネルは、この盛土が進むと、高速道路上からは「よりトンネルっぽく見えるようになります」とのことです。
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