「ステルス機っぽくない見た目のステルス機」増加なぜ? 「明らか普通の主翼の形」に隠された意図とは

敵に見つかりにくいステルス・ジェット機における外形上のトレードマークともいえた「デルタ翼」を思わせるスタイル。これが近年変わりつつあります。なぜなのでしょうか。

全身デルタの方がステルス性高い…のになぜ?

 垂直尾翼のない機体は全翼機を含めスタイルがシンプルのため、レーダー電波の反射が限られた方向にしか飛ばずステルス性の確保に都合がよいとされます。小さな垂直尾翼が付いているものの、全翼の機体は、1948年に米国でYB-49ジェット爆撃機が飛んでいます。ただし、YB-49は操縦の難しさなどから実用化されず、ほぼ同じスタイルの爆撃機はコンピューターで制御するB-2の登場まで待たねばなりませんでした。

 そして、B-2の実用化で制御法も確立されステルス機に都合の良いスタイルとして、全翼機が無人機に多く見られることとなったのでしょう。

 反面、操縦室周りの設計を省いたりデジタル技術を大幅に採用したりして無人機は開発費の抑制や設計期間の短縮を図ることができます。有人戦闘機との協同作戦でも、まず生き残りを図らねばならないのはパイロットなのは間違いありません。

 そのため、レーダーの反射率をより低くし撃ち落されにくい設計は有人機へ力が注がれる一方、無人機のステルス性能は有人機より低めでよく、その結果、これまでの航空機とさほど変わらないスタイルに戻ったと推測もできます。YFQ-44Aの垂直尾翼がレーダー波の反射を限定するV字型の2枚でなく、1枚なのもそれが理由かもしれません。

【写真】たしかにステルス機っぽくない…これが各国の「最新無人機」全貌です

Writer:

さがら せいぞう。航空月刊誌を中心に、軍民を問わず航空関係の執筆を続ける。著書に、航空自衛隊の戦闘機選定の歴史を追った「F-Xの真実」(秀和システム)がある。

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