F-35の購入を棚上げ「開発中のFCASに期待」しかし、頼み綱の次世代機も空中分解の危機? スペイン
スペイン政府がロッキード・マーチン製のステルス戦闘機であるF-35を購入計画を棚上げしたことが2025年8月5日、同国メディアで報じられました。
ユーロファイターとFCASに期待
スペイン政府が、ロッキード・マーチン製のステルス戦闘機F-35「ライトニング II」の購入計画を棚上げしたことが、2025年8月5日に同国メディアで報じられました。

これまでスペイン政府は、空軍が運用するF/A-18「ホーネット」および海軍のAV-8B「ハリアー II」の後継機として、アメリカのロッキード・マーチンが製造するF-35シリーズに関心を示していました。
2017年にはF-35に関する情報請求も行っており、近年は、フランス・ドイツ・スペインの3か国が共同開発を進めている第6世代戦闘機プロジェクト「将来戦闘航空システム(FCAS)」の配備を待つまでの一時的な措置として、F-35Aの導入を検討しているとの報道もありました。
しかし今回、スペイン国防省は「スペインの選択肢は、現行のユーロファイターおよび将来的なFCASである」との方針を示し、F-35導入計画を無期限で中断する決定を明らかにしました。
この判断には課題もあります。スペイン海軍が保有する強襲揚陸艦「フアン・カルロス1世」で運用中のAV-8B「ハリアー II」は、2030年までに退役が予定されているため、同艦はその後、ヘリコプターや無人機のみを運用する艦艇となる可能性が高まっています。
また、アメリカとの関係悪化を懸念する声も国内で上がっています。現政権のペドロ・サンチェス首相は、アメリカのドナルド・トランプ大統領が主張する「防衛費をGDPの5%まで増額する」というNATOの新たな目標に強く反対しており、以前にはNATO首脳会議でトランプ大統領がスペインを名指しで批判したこともありました。
さらに、FCASの将来も依然として不透明です。戦闘機の開発における主導権を握りたいダッソーと、あくまで平等な共同開発を求めるエアバスとの間で対立が深まっています。
2025年8月1日には、エアバス・ディフェンス・アンド・スペースのCEO、ミヒャエル・シェルホルン氏が「合意された原則に立ち返り、それを実効的に履行すること以外に、もはやFCASを続ける理由は見いだせない」と述べ、ダッソーの姿勢に対する強い不信感を示しました。
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