「バス運転手」が一転、“注目の職種”に? 「大学新卒に響いている」そのワケは? 高卒は「選択の自由がない」とウィラー
高速バス「WILLER EXPRESS」のドライバー募集に、大学新卒者からの応募が増えています。同社が打ち出す教育体制や明確な待遇だけではない、ある大きな社会の変化が影響している可能性があります。
「狙ってなかった」大学生に響いたワケ
高速バス「WILLER EXPRESS」を運行するWILLER EXPRESSは2025年12月4日、平山幸司社長による報道陣向けの戦略説明会を開催しました。その中心は、深刻化するバス運転手不足のなかでの採用活動についてです。
コロナ禍で大きく減退した高速バス需要は、順調に復調し、ウィラーは2025年に過去最高益を更新するいいます。インバウンド需要のほか、国内の物価高を背景とした宿泊費節約の動きから夜行バスの需要が高まり、学生中心だった客層も50歳代が増加するなど変化しているそうです。
しかし、好調にもかかわらず、供給する座席数はコロナ前の2019年比で2割強も減少しているといいます。つまり、運転手不足で増発が難しく、供給に対し需要が上回る状況。乗車率は全便平均で年間を通じて9割に迫るなど、ほぼ満席の状態が続いているといいます。これが結果的に、客単価の上昇、つまり運賃に跳ね返って増益を確保している状態のため、運転手不足は実際の利用者にも大きく影響しています。
こうした状況下で、ウィラーはバス運転手、同社が呼ぶところの「ハイウェイパイロット」に、これまで想定していなかった層からの応募が増えているといいます。それは「大学新卒者」です。
当初は大学生をメインターゲットとは考えていなかったものの、ここ数か月でエントリーが急増。2026年卒業予定者についてもすでに応募が多数あり、教習所の受け入れ枠の問題から、一時的に大卒者の応募を停止するほどの状況だといいます。
なぜ今、大学生がバス運転手の仕事に注目しているのでしょうか。平山社長はその理由を「『WILLER LABO』という独自の教育機関の存在と、2年後には年収600万円を目指せるという明確なキャリアパスが響いているのではないか」と分析します。
同社は未経験者を中心に採用しているのが特徴です。特に、ホテル業や飲食業、空港のグランドスタッフなど、ホスピタリティの高いサービス業経験者を歓迎しているといいます。
その理由は、同社が運転技術だけでなく、乗客への接客・接遇を極めて重視しているためです。一般的なバス会社から転職してきた経験者の場合、求めるサービスレベルが異なり「こんなことは今までやったことがない」と、1年以内に辞めてしまうケースが少なくないそうです。「10人採用しても、定着するのは1~2人程度」(平山社長)とのこと
そこで同社は、未経験者をゼロから育てる方針に舵を切りました。下地がないぶん、教えられたことを「スポンジのように吸収してくれる」といいます。





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