「タイヤメーカーだよね?」→実はギネス持ちの“航空分野の老舗”です! 日本では知られざるその凄さって?
日本ではタイヤメーカーとして有名な「グッドイヤー」は、実は飛行船メーカーとしても老舗です。この分野においてギネス記録を持つ同社の機体の特徴は、どのようなものなのでしょうか。
「グッドイヤーの飛行船」どんなスペック?
グッドイヤーでは2011年、ドイツ製新型飛行船の「ツェペリンNT(New Technology)」が導入されて現在は3機がアメリカ国内で運航されています。これらの飛行船はオハイオ州、フロリダ州、カリフォルニア州にそれぞれ1機が配置されて運航されています。
現行機種の飛行船は全長75m、12人乗り、アメリカのライカミング社製200馬力エンジンを3機装備して最大速度125km/h、巡航速度115km/h、航続距離900km、滞空時間24時間、上昇限度は2600mと発表されています。
グッドイヤー社はこのエア・ヴェンチャーでは半世紀もの間、毎年参加を果たしていますが、今年は飛行船運航100周年を祝うために2機の飛行船を参加させました。そのため、会場上空では2機の飛行船が並んで飛行する珍しい光景も見ることもできました。
飛行船の仕組みは胴体内に空気より軽いヘリウムガスを大量に充てんして膨らませることで浮力を得ています。アメリカは世界最大のヘリウムガス生産国でもあるのでアメリカならではの乗り物ともいえそうです。ヘリコプターやeVTOL機のように機体を浮揚することに大量のエネルギーを必要としない点は大きな利点ですが船体が大きいため運航には風の影響を受けやすい点は欠点とされています。
エンジンでプロペラを駆動することで推進力を得ていますが、これからは電気推進の飛行船も出現するでしょう。船体上面に太陽光パネルを張り付けた機体も登場するのではと筆者は想像しています。
Writer: 細谷泰正(航空評論家/元AOPA JAPAN理事)
航空評論家、各国の航空行政、航空機研究が専門。日本オーナーパイロット協会(AOPA-JAPAN)元理事
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