自衛隊も重用する「4発エンジン機」が空母で幾度も発着なぜ? 記録ねらいじゃなかった! 米軍の切実な悩みとは
いまから60年ほど前の1960年代前半、米海軍は遠洋にいる空母への物資輸送用に4発輸送機を使うことができないか試験したことがあります。結果は良好、しかし採用しませんでした。なぜなのでしょうか。
着艦フックなくても距離80mあまりで停止
11月に入り、ついに実際の空母を使った発着艦試験へと移行します。まずは同月8日、マサチューセッツ州沖の大西洋に展開した空母「フォレスタル」を目指し、ジェームズ・H・フラットレー3世大尉が操縦し、ウォルター・W・“スモーキー”・ストーヴァル少佐、機上整備員のエド・ブレナン1等航空技術兵曹が搭乗したKC-130Fが、パタクセントリバー海軍航空基地を離陸します。

空母「フォレスタル」上空に到着したKC-130Fは、まず飛行甲板に着艦したらすぐさま離艦するタッチ・アンド・ゴーを複数回実施しました。これにより調子を掴んだフラットレー大尉は、いよいよ着艦に挑みました。
飛行甲板に着艦すると、すぐさまフルブレーキとともに、ジェット旅客機の逆噴射にあたるリバースピッチ(プロペラの翅の角度を逆にし、後ろ向きの推力を生み出す方法)で愛機を止めにかかります。その結果、飛行甲板を3分の1ほど進んだところで機体は停止しました。こうして着艦フックなどなくても、ジェット戦闘機が着艦フックを使った際と同程度の距離で空母に降り立つことに、見事成功したのです。
着艦したら、次は発艦の試験です。飛行甲板の後端まで後退したKC-130Fは、難なく発艦にも成功しました。空母が通常の発着艦と同様、風上に向かって全速で航行しているため、合成風力の助けもあったものの、拍子抜けするほどあっさりと成功させています。
2週間ほど間をおいた11月21日~22日、追加の試験が再び大西洋に展開した空母「フォレスタル」で実施されました。今度は実戦を想定し、様々な貨物を搭載した状態で発着艦を行いましたが、フラットレー大尉ら3名のクルーは、これらも難なくクリアしています。
一連の試験で、KC-130Fは合計で29回のタッチ・アンド・ゴーと21回の着艦、21回の発艦に成功し、空荷の状態(機体重量39t)ではわずか81.4mで停止し、貨物を最大に積んだ状態(機体重量55t)でも着艦に140.2m、発艦に227.1mの距離を要したという記録を残しています。空母「フォレスタル」の全長は325mなので、十分余裕のある結果だといえるでしょう。
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