自衛隊の次世代戦闘機「GCAP」ライバル機より一歩リード?→日本の立場は 「実証機先に作れそうです」が意味するもの
日本が開発に参画する次期戦闘機「GCAP」は、フランスなどが開発を進めている「FCAS」と比較すると、開発状況はリードしているように見えます。日本はこの状況をどのように考えるべきでしょうか。
GCAPは「技術立証機の製造」へ
日本とイギリス、イタリアが共同開発するGCAP(Global Combat Air Programme=次期戦闘機)と同じように、フランスとドイツ、スペインが一緒に取り組むFCAS(Future Combat Air System:将来戦闘機システム)はフランス・ドイツ間の主導権争いにより遅れが指摘され、戦闘機に先立つ技術立証機の製造も繰り延べされるのではないかとされています。一方、GCAPはイギリスで技術立証機の製造が進んでいますが、これはイギリス主体のもの。日本はこの状況をどのように考えるべきでしょうか。

フランス・ドイツ・スペインによるFCASの開発自体は2017年に始まりました。一方、GCAPは2022年暮れに日本・イギリス・イタリアの枠組みでの開発が発表されています。FCASはフランス「ラファール」、GCAPはイギリス「タイフーン」と日本のF-2の後継となる、第6世代の戦闘機を目指しています。FCASが目標としている配備時期は2040年ごろ、一方2025年現在においてGCAPの配備時期は2035年頃とアナウンスされています。
両機がどのような姿になるのか――。その大枠は明らかになりつつあるといえるでしょう。FCASは2019年からフランス・パリでの国際航空展示ショーで同じ実物大模型が展示され、GCAPの実物大模型は2024年7月にイギリスで2024年7月に初めて公開されました。
しかし一方で、計画自体はFCASの方が早くスタートしていますが、海外の報道では、フランスとドイツの主導権争いが顕在化して遅れが懸念されているとのことです。2025年7月にもフランスがドイツ・スペインへ作業分担(シェア)の再考を提案、フランス側が80%の作業分担を要求したとされてもいます。
戦闘機の国際共同開発はこうした分担割合や知的財産の所有が関係国間の争いになりやすく、FCASもこれまでの合意条件が変わると遅れが生じ、次の段階で予定している技術実証機の製造に影響があるうえ、最終的に戦闘機の配備時期が遅れる指摘が出ています。
こうして見ると、パリ航空ショーで設計の変更などを反映せず変わらぬ姿のまま展示され続ける実物大模型は、計画の遅れを象徴しているようにも見えてきます。
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