「バス停移設して」「難しい」 国とバス会社の対立劇、利用者不在の“あっけない幕切れ”に

JR九州が2025年3月に開業した新駅「仙巌園」(鹿児島市)の駅前の国道上に、ポツンと残されていたバス停標識。背景には国とバス会社の対立劇がありましたが、迎えた結末は、利用者不在と受け取られかねない“あっけない”ものでした。

「安全性が向上する」「安全担保できない」分かれた見解

 仙巌園前の停留所を通る路線を走らせてきた2社のうち鹿児島交通が、バス停の移設に反対しました。

Large 20250902 01

拡大画像

JR日豊本線の仙巌園駅。ホームの目の前が海だ(大塚圭一郎撮影)

 鹿児島交通は、理由としてバスベイが丁字路の交差点内にあり、鹿児島中央駅行きのバスがバスベイから走行する直進車線へ戻る際に、次の信号までの短い間で2車線分の車線変更が必要になることなどを挙げて「運行の安全性を確保できないと判断した」と説明しています。

 利用者の人命を預かるバス会社として安全性を重視する姿勢は理解できます。一方、2車線分の車線変更が必要なバス路線は国内に他にもあり、そのような場所では「車線の後ろを走るクルマはバスが車線変更できるように譲っている」とも聞きます。

 残る1社の南国交通は「従来より安全性が向上する」として移設に賛成しました。

 バスベイが完成した後も、路線バスは左折車線の標識がある場所に停車し続けたため、鹿児島国道事務所は標識の設置者である鹿児島県バス協会に対して3回にわたって標識の移設を求める勧告書を提出しました。

 ただ、鹿児島県バス協会を務めているのは、鹿児島交通を抱える地元有力企業「いわさきコーポレーション」の岩崎芳太郎会長です。岩崎氏は鹿児島商工会議所会頭も務めている地元経済界の重鎮です。ある運輸業界関係者は「鹿児島県バス協会は、鹿児島交通が実質的に主導しているようなものだ」と指摘します。

 勧告に対して鹿児島県バス協会は「承諾できない」と回答し、仙巌園前停留所を使っている南国交通と鹿児島交通に対応を任せるとしました。

 鹿児島国道事務所は再三にわたる勧告に応じなかったとして、2025年8月6日付で鹿児島県バス協会に対して移転措置命令を出しました。期限を同年8月末と定め、鹿児島県バス協会は左折車線上の標識を撤去しました。

【なるほど“ポツン”だ…】問題のバス停(地図/写真)

最新記事

コメント

10件のコメント

  1. 交差点を鹿児島ほうこうにもう少しずらせば問題ないのかなと。

    もしくは、バス停を交差点の先の鹿児島側にとかね。

  2. 鹿児島交通というかいわさきの事業免許の取り消しでいいと思う。

  3. この話は、新設のバス停は交通事故につながる可能性が高いとの話がバス会社からあり、だから反対していた と聞いていましたが、安全が一番最初に記載すべき内容であり、客に不便であることを主体に記載は根本的におかしい。

    自分の意見が全くない意味のない内容ですね。

  4. 九州全体もそうだけど鹿児島は特に運転が荒くて雑だから、鹿児島交通側の言い分も理解出来ますね。バス停内に駐停車する自分勝手な乗用車も多いですし。

  5. 特に問題ないのでは…

    今現在(令和7年9月)、仙巌園から鹿児島方面へのバスの便数は鹿児島交通が平日9便、南国が確か平日3便で土休日はさらに便数が減ります。鹿児島方面からはほぼ30分おきに市営の周遊バス『カゴシマシティービュー』が仙巌園内のロータリーに乗り入れているし、今年3月にはJR仙巌園駅が開業しており、特急と朝の一部の下り普通列車が通過するのみで、かなり便利になってます。タクシーも常に常駐していますし、正直、やしの木の会社が廃止を宣言したところで利用客は民間路線バスは相手にしていません。なので廃止しても問題ないのでは

    ただ、廃止を表明しても3日後廃止なんてできるのでしょうか?

  6. 記事の内容とは関係ないが、「JR日豊本線を走る819系の普通電車」となっている写真、817系では⋯

    819系って、DENCHAの愛称の蓄電池式電車だったと思います。

  7. 文章の説明が悪い。

    理路整然としていない。

    著作者としては、まず物事の全体を把握できてなく、次に伝える能力を書欠いており、表に出すまでに習熟が必要。

    これを出すとした管理者も問題。

  8. 前に勤めていた会社の社長は少しずつ動かして会社の前まで移動させていましたね。

  9. 公共交通機関でありながら自己中心いわさきらしい対応です、仙巌園前を通る鹿児島マラソンの開催にあたり路線バスを運休する補償料を求めて訴訟をおこした時びっくりしました、地方の路線バスも自治体が助成金の値上げに従わなければ路線を廃止してしまいます、いわさきグループは昔から金の猛者です。

  10. 仙巖園から出る右折車線が写真から見えるが、信号がなければ右折車は交通量の多い車列の隙間を狙って急いで渡り、右折する事になります。その時バスベイから出るバスが指示器を出していても走行車線の交通量が多ければ、ましてや1つ先の信号待ちの車等の陰になって仙巖園から出る車からは見えづらく、又バスも走行車線の車列の途切れを目指して動こうとするでしょう。バスの後ろの車がバス優先で停止してくれたとしても園から出た車は隙間が出来たとして動けばバスと鉢合わせする事になるでしょう。前のバス停の様に走行車線上にバスが停車していればバスの側面が車の陰になる事もほとんどなく園からの右折待ちの車からも良く視認出来たと思います。バス停を復活してもらうには、バスと車の双方が瞬時に判断しなければならない確認事項を少しでも減らせる様に仙巖園の車出入り用信号機を付ける等の工夫が必要だと思います。