「バス停移設して」「難しい」 国とバス会社の対立劇、利用者不在の“あっけない幕切れ”に
JR九州が2025年3月に開業した新駅「仙巌園」(鹿児島市)の駅前の国道上に、ポツンと残されていたバス停標識。背景には国とバス会社の対立劇がありましたが、迎えた結末は、利用者不在と受け取られかねない“あっけない”ものでした。
「苦渋の決断」でバス停廃止という結末
これで一件落着と思われたバス停の対立劇には、まさかの結末が待ち受けていました。移設に反対してきた鹿児島交通は2025年8月28日、仙巌園前バス停のうち鹿児島市街地方面の停留所を同月31日をもって廃止すると発表したのです。

鹿児島交通は停留所の移設先となるバスベイの代わりに、「安全性を確保できる適切な場所」と見なした位置への停留所移設に向けて鹿児島国道事務所へ許可申請をしました。
しかし、移転措置命令の期限となる8月末が迫る中で許可が下りないため、利用者への周知期間なども考慮して「8月31日をもって廃止という苦渋の決断をした」とコメントしました。鹿児島交通は廃止に伴い、継続利用が困難になる仙巌園前発着の定期券の所有者には、有効期限内に使用残日数を日割り計算で払い戻します。
鹿児島中央駅行きバスは9月以降、停留所移設に応じた南国交通がバスベイへ乗り入れるようになった一方、鹿児島交通は素通りするようになり、対応が二分しました。
国の移設措置命令に従わずに停留所を廃止するという鹿児島交通の決断は、「西郷どん」の相撲のシーンで西郷隆盛が島津斉彬に花を持たせることなく破ってしまうシーンをどこかほうふつとさせます。ただ、九州屈指の景勝地と観光名所に近く、仙巌園駅も目の前にあるバス停を素通りしてしまう選択は、鹿児島交通の路線バスの利便性を低下させるだけに、判断の適切性で軍配が上がるかどうかは疑問符が付きそうです。
Writer: 大塚圭一郎(共同通信社経済部次長・鉄旅オブザイヤー審査員)
1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学フランス語学科卒、共同通信社に入社。ニューヨーク支局特派員、ワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。「乗りもの」ならば国内外のあらゆるものに関心を持つ。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。
交差点を鹿児島ほうこうにもう少しずらせば問題ないのかなと。
もしくは、バス停を交差点の先の鹿児島側にとかね。
鹿児島交通というかいわさきの事業免許の取り消しでいいと思う。