もはや別人!?「いいえ同じクルマです」 明暗わかれる車の「顔面フル整形」なぜ増えている?
これまでクルマの世界では、販売期間の途中でフロントマスクなどの外装を大幅に変えたモデルが数多く登場しました。これは“大胆な賭け”でもあるのですが、どのような事例があるのでしょうか。
「イメチェン失敗」のケースも少なくない?
成功例の一方で、大掛かりなスキンチェンジが販売や人気の回復につながらなかったケースも少なくありません。

名車の復権に奔走した9代目「スカイライン」
1993年にフルモデルチェンジした9代目日産「スカイライン(R33型)」は、先代の8代目(R32型)が高く評価されたこともあり、大きな期待のなかデビューしました。ところが、居住性改善のためにサイズが大きくなったことや、丸っこくボリューム感のあるデザインが不評を買い、伸び悩みました。
そのため、R33型は1996年にビッグマイナーチェンジを敢行。ボンネットやヘッドランプをよりシャープな造形に変更し、バンパーには大型コンビランプを組み込んでイメージチェンジを図りましたが、性能面での目立った改良がなかったこともあり、人気回復には至りませんでした。
イメージは激変も、再浮上できなかった「SAI」
2009年に発売されたトヨタのハイブリッドセダン「SAI」は、プリウス以来2車種目のハイブリッド専用モデルとしてデビューしましたが、兄弟車に当たるレクサス「HS」ともども、当時爆発的にヒットしていた3代目プリウスの陰に隠れ、人気はいまひとつ低迷しました。
そこで、2013年には内外装を刷新するビッグマイナーチェンジを実施。顔つきは一気に攻撃的なデザインとなりましたが、やはり販売は伸び悩み、2017年に1代限りで生産を終えています。
“3面相”のフロントマスクを持つ2代目「インプレッサ」
2000年にデビューした2代目スバル「インプレッサ」は、ラリー仕込みの走りの良い主力の小型モデルでしたが、フロントマスクにはこのクラスでは珍しい、丸形ヘッドライトを基調としたデザインを採用しました。通称“丸目”と呼ばれるこのフェイスは、市場から奇抜なものと捉えられ、評価は芳しくありませんでした。
販売を回復すべく、2002年にはよりスポーティな顔立ちに一新(通称“涙目”)されましたが、今度は睨みの利いた表情が、女性層を遠ざける結果に。そのため2005年には再びフロントマスクが全面変更され、スバルのファミリーフェイスを採用した通称“鷹目”へと移行しました。しかし、2度のスキンチェンジも充分な効果は得られず、2007年には3代目へモデルチェンジしました。
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かつて国産車は2年でマイナーチェンジ、4年でフルモデルチェンジという周期が一般的でしたが、近年はモデルサイクルが伸びており、1モデルを長期でブラッシュアップしていくケースも珍しくなくなりました。そのため、従来までの1世代分に相当する販売期間を、大規模なマイナーチェンジによって戦う車種も現れており、今回の改良型アクアも、そうしたケースのひとつとして考えられるでしょう。
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