駆逐艦「雪風」の代役で銀幕デビュー! 終戦10年後に誕生したもう1隻の「ゆきかぜ」とは? 最後まで日本の発展に寄与

太平洋戦争を開戦から終戦まで戦い続け、幸運監と呼ばれた駆逐艦「雪風」ですが、戦後に同名の戦闘艦が誕生していたのをご存じでしょうか。「ゆきかぜ」と平仮名で表記される自衛艦を振り返ります。

艦隊旗艦の大役 最後は標的にも

 居住性の面では、旧日本海軍式のハンモックを廃して、アメリカ海軍式の3段ベッドが導入されました。ただし、予備として一部にハンモック用吊金具も設置されていたとか。ただ、乗員区画は旧日本海軍の駆逐艦とほぼ変わらない狭さで、快適性はそこまで高くなかったようです。

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1940年に佐世保で撮影された、旧日本海軍の駆逐艦「雪風」(画像:アメリカ海軍)。

 機関は蒸気タービンで2軸推進。機関部は缶室・機械室のシフト配置で、前の1セットが左舷スクリュー、それに続く後ろの1セットが右舷スクリューを回しています。そして最大速力は約31ノット(約57.4km/h)、航続距離は18ノット(約33.3km/h)で約6300海里(約1万1670km)でした。

 新造時の基本兵装は5インチ(127mm)単装砲塔3基、40mmボフォース4連装機銃2基、対潜水艦用多連装迫撃砲「ヘッジホッグ」2基、爆雷投射器8基、爆雷投下軌条2本です。

 艦籍番号DD-102を付与された「ゆきかぜ」は、1954(昭和29)年12月17日に新三菱重工業(現在の三菱重工業)神戸造船所で起工され、1955(昭和30)年8月20日に進水、約1年後の1956(昭和31)年7月31日に就役しています。

 その後、1957(昭和32)年4月から1961(昭和36)年7月までの間、自衛艦隊旗艦(当初は第1護衛隊群旗艦を兼務)という大役を務めたほか、1963(昭和38)年には、邦画『駆逐艦雪風』で、先代「雪風」の代役にも抜擢されました。

 後年には各種新装備をテストするための試験艦となったり、特務艦へと種別変更されたりしながら、艦籍番号もASU-7003に変えられています。1985年3月まで使われ続けた「ゆきかぜ」は、除籍後に能登半島沖で実艦標的として海没。最後まで自衛隊の発展のために使われた一生だったといえるでしょう。

 なお、旧日本海軍の「雪風」が1940(昭和15)年1月の竣工から台湾軍艦「丹陽」として除籍するまで30年だったのに対し、自衛艦「ゆきかぜ」は就役から除籍まで29年と1年短く終わっています。

以後、「ゆきかぜ」の艦名が付けられた自衛艦は登場していません。いったい3代目「ゆきかぜ」は生まれるのか、もし登場するなら、どのような艦種、艦型に用いられるのでしょうか。興味は尽きません。

【写真】日本国内に残る初代「雪風」の主錨

Writer:

東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。

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