垂直離着陸戦闘機「ハリアーII」ぬぐえぬ誤解? 欠陥機の指摘は

2016年9月、アメリカ海兵隊の垂直離着陸戦闘機AV-8B「ハリアーII」が墜落。これを受け「ハリアー」の事故率を指摘し、「欠陥機」とする声も上がっていますが、そこには誤解が含まれているかもしれません。

垂直離着陸機であるがゆえの「宿命」

 最初の「ハリアー」は、非常に事故の多い機体でした。導入から11年のあいだに、墜落など重大事故にあたる「クラスA事故」が、10万飛行時間あたり39件という高い事故率を記録。導入数110機の半数にあたる実に55機の機体を損失しました(墜落以外の事由も含む)。

 これに対して「ハリアーII」は、飛行性能だけではなく信頼性も大幅に改善することに成功。1985(昭和60)年の導入当初こそ事故が多発したものの、2013(平成25)年には10万飛行時間あたりの「クラスA事故」発生率が6.76件になっています。

「クラスA事故」という分類は損害額によって決定され、物価などの世相を反映し基準も変化するため単純に比較することはできませんが、AV-8B「ハリアーII」は281機が導入され、2013年までの導入からおよそ30年間で110機の損失にとどまり(同じく墜落以外の事由も含む)、運用時間あたりの事故率は大幅に減少しているといえるでしょう。

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ソ連製のYak-38垂直離着陸戦闘機。西側の「ハリアー」への対抗で無理に実用化され、1000飛行時間に1回墜落という「本物の欠陥機」に(関 賢太郎撮影)。

 以上のように「ハリアーII」は、「ハリアー」に比べ安全な戦闘機になったといえますが、それでもアメリカ軍のほかの戦闘機に比べると2倍から3倍、重大事故の多い機種となっています。

 おもに強襲揚陸艦の艦載機としての運用が行われる、アメリカ海兵隊の「ハリアーII」は、離陸(発艦)時は短距離を滑走。着陸(着艦)時は、いったんホバリング(空中で停止)して垂直に降下します。このため「ハリアーII」はパイロットのミスや機械的故障、そのほかさまざまなトラブルが生じた場合の対処が非常に困難となる、低速、低空な状況がどうしても長くなってしまいます。ゆえに、通常の戦闘機に比べてどうしても重大事故が多発しやすいという弱点を抱えており、これは垂直離着陸機であるがゆえの宿命といえるでしょう。

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コメント

4件のコメント

  1. オスプレイ同様、事故を起こしやすい機体であることは確かですね。

  2. 庶民が車を運転するよりは低いんでないの?

  3. オスプレイもそうですが『米軍機』と言う点が強い批判を招いている、と言う印象も。

  4. もともと垂直離着陸機そのもののハードル(主に空力学的、コスト的)が桁違いにたかいだけ。でなければイギリスがF-35B就役前にハリアー系列機を退役させないし、ロシアもYak-141系列機を没にしなかったし。大体、垂直離着陸が容易くできたら今頃コミュータ機はとうにオスプレイタイプになってるって。

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