ほぼ同時期に開発された「2国の世界最新戦闘機」、どっちが強いのか? スペック値だけで見るのは早計かも!?
韓国の「KF-21」とトルコの「カーン」は戦闘機として現在世界で最も新しい機体です。2機はスペック面、セールス面においてどちらが強いのでしょうか。
じゃあ「KF-21」の強みは?
一方、韓国にとって強みなのは、KF-21が2作目の有人戦闘機として生み出されたということです。
同国は練習機からの派生ではあるもののFA50戦闘攻撃機を完成させて輸出にも成功しています。このためFA50を通じ、韓国は最高速度や加速力、航続距離といったカタログで示すことができる以外の、整備性や稼働率の維持、予備部品の補給態勢という使い勝手のノウハウを培い、それをKF-21にも展開するのは確かです。KF-21に一日の長があると見ても差し支えないでしょう。
そのうえ、KF-21は発展型のEXで兵器倉が実装されれば、カーンと並ぶ世代になります。カーンは機体の大きさから機内容積に余裕があり発展性がある反面、使用するエンジンの推力を鑑みれば運動性に秀でているかの議論も予測できます。それゆえに韓国は、“真打ち”のEX登場の日までKF-21の優秀さをアピールし続けるでしょう。
これらを見れば、性能のみでKF-21とカーンの優劣は判じ難くあります。1機当たりの価格もKF-21が日本円にして100億円前後とされる一方、カーンは明らかになっていないので、現時点では“費用対効果”の優劣も判断できません。そうなると、どちらが輸出先に好まれるかは、政治的配慮を含む“付属”サービスの提供になるのではないでしょうか。
トルコがクズマエルマを開発したように、韓国も無人戦闘機の構想を既に示しています。現代はおろか将来の空中戦は機体単体のみならず、無人機や広範囲かつ強力な電子戦環境を作り出したうえで行われます。いわば「総合的なパッケージ」を韓国とトルコのどちらが提供できるかにかかっているでしょう。それだけにKF-21とカーンの競争は、国の総合力が問われるものとなりそうです。
Writer: 清水次郎(航空ライター)
飛行機好きが高じて、旅客機・自衛隊機の別を問わず寄稿を続ける。
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