平成生まれ使い方わかる? 艦乗り必須装備「洗濯板」なぜ必要か 洋上の自衛艦に漂う地味な面倒ごととは
広い大海の上では真水が貴重になるため、自衛艦などではその使用量を抑えるべく、風呂に入れる湯に温めた海水を使うとか。洗濯も真水の使用が最低限になるため、洗濯板は必須のようです。
洗濯板があればカレーのシミも一発除去!
ハナシを戻して真水事情についてですが、真水の使用が制限されているときの洗濯はどうするのでしょうか。

それこそ洗濯物は毎日出ますし、着替えの持ち込みもロッカーが狭いので最低限になります。そこで頼れるのが、昭和レトロ感たっぷりの「洗濯板」だとか。
制服についたカレーのシミだろうが、油の飛び散った作業服だろうが、洗濯板でひたすらゴシゴシ。こうして手洗濯のスキルは嫌でも上達し、ベテランになる頃には「クリーニングマイスター」の称号を得られる……。そんなわけありませんが、それぐらい洗濯板は艦乗りにとっての必須アイテムのようです。
ちなみに、海上自衛官で夫のやこさんは古い艦を渡り歩いてきたベテランなので、洗濯板の扱いがプロ級。白シャツについたカレーのシミであれば、数往復シャッシャッと擦るだけで、まるで高級クリーニングに出したような仕上がりです。現代艦ではあまり登場する機会がなくなった洗濯板ですが、ベテラン艦乗りのいるご家庭ではいまだに現役で洗面所に洗濯板があるところも多いのではないでしょうか。
以前、電機員(自衛艦のなかで電気系を担っている乗員)の方から聞いた話である「どんなに時代が便利になっても、アナログで対応できる能力は磨くべきである」という金言を思い出しました。
ちなみに、護衛艦はトイレの水まで海水なので、一般公開などで艦内トイレを使った際はバルブを回して海水を流すようになっています。市井のトイレならボタン1つで真水が流れますからね。こうした地味で面倒な節制があるからこそ、艦艇の任務は成り立っているとも言えるでしょう。見えないところでコツコツと節水しながら、荒波を越える船乗りたち。表舞台では決して見えない努力が詰まっているのです。
Writer: たいらさおり(漫画家/デザイナー)
漫画家・デザイナー。夫のやこさん、娘のみーちゃんと暮らすのんきなオタク。海自にはまってからあれよあれよと人生が変わってしまった。著書「海自オタがうっかり『中の人』と結婚した件。(秀和システム)」「北海道民のオキテ(KADOKAWA中経出版)」各シリーズ発売中。
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