海上自衛隊で「2番目に大きい船」に乗ってみた “洋上のガソリンスタンド”艦内には見慣れぬ「線路」まで

海上自衛隊で最大の自衛艦なのが、空母のような形状をしたヘリコプター搭載護衛艦のいずも型です。では、これに次いで大きな艦、すなわち自衛艦で2番目に大きなものは何でしょうか。このたび乗ってきました。

え、なぜ艦内にレールが!?

 ほかにも補給艦にしかない装備として挙げられるのが、艦内を縦断する「線路」(軌条)です。これは船体各所に設けられた倉庫と荷扱い所を結んでおり、フォークリフトが貨車のように走るために設置されています。なお、このフォークリフトはバッテリー駆動で排気ガスを出さない仕様となっています。また同車がスムーズに行き来するために通路は広く採られており、その点でも護衛艦などとは異なります。

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補給艦「おうみ」の病室(神 徹也撮影)。

 また、各種補給物資を運ぶという点で艦内には巨大な冷凍冷蔵庫が3つ備わっているのも補給艦ならではといえるでしょう。内部は天井から吊り下げられたケージに生鮮食品や冷凍食品が収納される仕組みです。必要に応じてケージを動かして扉の前まで持ってくる方式であり、さながら立体駐車場といった感じです。

 医療機能が優れているのも「おうみ」を含む、ましゅう型補給艦の特徴のひとつです。大規模災害時には病院船としても使えるよう、手術室や集中治療室、X線撮影室、歯科治療室を備え、さらには重症者用の第1病室(8床)、軽傷者用の第2病室(30床:2段ベッド)、隔離室としても使える第3病室(7床)まで用意されています。

 こうした点は、船体が大きいからこそ、海自の継戦能力を支える自衛艦ならでの特徴といえるでしょう。

 また、比較的新しい艦ならではといえるのが、トイレです。真水や海水で流すのではなく圧縮空気で吸い取るタイプで、旅客機が備えるモノと同じ仕様でした。

 防衛省・海上自衛隊では、新型補給艦の建造を計画しており、2024(令和6)年度予算に1隻分、830億円の調達費用を盛り込んでいます。

 新型には、「おうみ」をはじめとした既存艦の運用実績などがフィードバックされるので、艦内構造も今回紹介した「おうみ」を基にさらなる拡充が図られたものとなるでしょう。

 なお、船体サイズは基準排水量1万4500トンでさらに大型化する見込みのため、ひょとしたらいずも型護衛艦を抜いて日本最大の自衛艦になるかもしれません。

 新型の補給艦は今後5年以内に登場するのは確実なため、どのような仕様になるのか、興味は尽きません。

【写真】これが補給艦「おうみ」の水で流さないトイレです

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