「世界最大の航空機」の歴史、変わるかも!? 全長100m超の“怪鳥軍用輸送機”、実現の可能性は?

現在、アメリカのスタートアップ企業が航空機史上でも最長の機体の軍用輸送型を開発しており、実用化すれば航空機史上でも最長の機体となります。このポテンシャルはどのようなものなのでしょうか。

史上最大の軍用輸送機が爆誕?

 アメリカのスタートアップ企業、ラディア社が新しい軍用輸送機「ウインドランナー・フォー・ディフェンス」(以下、ウインドランナー)の開発を発表しました。この輸送機は計画では全長109メートル、全幅80メートルの巨大機であり、実用化すれば現在アメリカ空軍で運用されている巨大軍用輸送機C-5ギャラクシー(全長75.3メートル・全幅約67.9メートル)を越える大きさで、航空機史上でも最長の機体となります。

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「ウインドランナー」の飛行中のレンダリング画像(ラディア)。

 なお、1機のみしかないものの(同機はロシアによって破壊)、「世界最大の飛行機」として知られている輸送機An-225「ムリヤ(ムリーヤ)」と比較すると、全幅ではAn-225よりも8メートル短いものの、全長は約25m、「ウインドランナー」のほうが長いです。

 もともと「ウインドランナー」は、風力発電機に使われる巨大タービン・ブレードを発電機がある僻地に直接空輸するために開発している機体です。

 タービン・ブレードは大きいもので全長が100メートルにもなり、その長さゆえに陸上での車両輸送は簡単ではありません。この機体はそんな長尺の貨物を運べるように、その長い胴体内が貫通したカーゴスペースになっており、これを軍事輸送の分野でも活用するのが狙いです。

 同社の説明によると「ウインドランナー」はその広いカーゴスペースによって、複数の航空機を搭載して空中輸送することができます。具体的な搭載例でいうと、CH-47「チヌーク」で6機、V-22「オスプレイ」で4機、F-35「ライトニング」やF-16「ファイティングファルコン」といった固定翼戦闘機で4機がそれぞれ搭載可能です。

 航空機自体の輸送はC-5「ギャラクシー」のような現役軍用輸送機でも可能ですが、輸送時にはローターなど部分的な分解が必要であり、展開後に数時間もの組み立て作業が必要となります。しかし、「ウインドランナー」の場合は機体を分解することなくそのまま輸送でき、輸送後に速やかに飛行させることが可能です。この点でも軍事輸送において大きなアドバンテージあるといえるでしょう。

 また、車両についても、レーダーやミサイル発射機といった特殊な軍用車両にも対応し、自走で乗り降りができる「ロールオン・ロールオフ機能」にも対応しています。また、空港設備の整っていない発電所周辺に離着陸するために、1800メートルの未舗装滑走路でも運用可能というのも強みです。

【画像】すんごい! これが「航空機史上でも最長の機体」驚愕の全貌です

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