中国の恐るべき底力…「世界で2番目の電磁カタパルト空母」の潜在力とは 公開された艦載機にも是非注目!
中国が2025年9月22日、最新空母「福建」において、ステルス戦闘機や早期警戒機を用いた初の電磁カタパルト射出および着艦試験に成功したと発表しました。じつはここで用いられた艦載機にも注目すべき点があるようです。
空母「福建」の今後の課題とは?
EMALSの導入により、中国海軍の機動部隊は、運用可能な機体の種類を増やせるようになりました。

KJ-600早期警戒機による対空監視能力の向上と、J-35戦闘機がもたらすステルス打撃能力の組み合わせは、中国海軍の洋上攻撃能力がアメリカ海軍のそれに肩を並べるところまで到達した象徴と言えるでしょう。
とはいえ、EMALSの成功だけで「福建」がフォード級原子力空母に匹敵する能力を得たとは見なせません。公開映像は成功例のみで、連続発進時の安定性や故障間隔についての情報がないからです。
アメリカ海軍は、フォード級原子力空母を導入した当初、EMALSの信頼性の低さに苦労しました。数百回作動させれば一度は故障したと言われ、この解決に長い時間をかけています。当然、中国も同様の問題を抱える可能性が高いのではないでしょうか。
またEMALSを作動させるには数十メガワット単位の瞬間出力が必要です。フォード級はこの電力を原子炉が供給しますが、「福建」の推進・発電システムは従来型の蒸気タービンと見られています。このため安定的な電力供給に制約があり、カタパルトの連続使用は難しいほか、大型機や連続発艦時には艦の性能低下さえ招きかねません。
このように「福建」が期待される戦力を獲得するまでには、まだ実証が不足しています。技術仕様、すなわちカタログスペック上ではアメリカに追随できているものの、運用経験の差は依然大きいのです。
それでも、「福建」に続いて建造中と言われる「第四の空母」が、もし原子力推進を実現すれば、この差は一気に縮まります。中国海軍が多くの軍事専門家の予想よりも早いペースで、アメリカに追いつこうとしているのは間違いないようです。
Writer: 宮永忠将(戦史研究家/軍事系Youtuber)
1973年生まれ、上智大学文学部史学科卒業、東京都立大学大学院人文科学研究科中退。 雑誌編集者、ゲーム会社ウォーゲーミングジャパン勤務等を経て、各種メディアにて歴史・軍事関連の執筆や翻訳、軍事関連コンテンツの企画、脚本などを手がける。Youtube「宮永忠将のミリタリー放談」公開中。
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