老朽化著しい「自衛隊のLCAC」後継にイギリス企業が名乗り!「米国製は規制ばかり、日英連携の方がイイよ!」メリットは?

大分空港のホバークラフトを開発・製造したイギリス企業が、海上自衛隊向けの新たな上陸用舟艇を提案中です。このたび空母「プリンス・オブ・ウェールズ」で開催されたイベントにブースを出展していたのでハナシを聞きました。

日本国内の企業による支援体制も「ワイバーンJ」の特徴

「ワイバーンJ」の大きな特徴として艦首側の上部に2基のプロペラが設けられていることがあげられます。これは電動モーター駆動のバウスラスターで、船体の向きを変える時に使うものです。

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東京国際クルーズターミナルに接岸中の空母「プリンス・オブ・ウェールズ」。2025年9月2日まで寄港していた(深水千翔撮影)。

「プロペラ型を採用したことでパワーがだいたい1.34倍くらい上がり、旋回性能が向上する。従来のダクト型の場合、下から空気を持ち上げるため大型のリフトファンを設ける必要があったが、これを外して電動のバウスラスターに切り替えることで、船体の前のスペースも広がる。これにより現行のLCACより多い25人の人員を収容できるようになった。また、陸上自衛隊側の課題として担架をそのまま入れられないということがあったが、広くなったことで担架による患者輸送にも対応できる」(関係者)

 右舷側のコマンドコントロールキャビンには、航空機の操縦装置をベースに開発されたコックピット型の統合操縦装置を採用することで省人化を実現。左舷側のパーソネル&イクイップメントキャビンにはナビゲーションと機関情報をモニタできるディスプレイを備えます。

「ワイバーンJ」自体はイギリス製ですが、日本国内の整備会社が技術補給、検査修理、教育訓練を全てサポートする計画で、オーバーホールも全て国内で行うため高い稼働率が見込まれます。

 前述したように、グリフォン社製のホバークラフトは2025年7月に定期運航を始めた大分市~大分空港間の定期航路に12000TD型3隻が投入されており、実際に乗り心地を体感することができます。

 ちなみに12000TD型の契約額は2500万ポンド超で、同社としては最大規模の契約となりました。また修理支援のため大分市のメンテナンス拠点には専門のチームを派遣しており、万全のサポート体制が構築されていることが伺えます。

「ワイバーンJ」がLCACの後継として採用されれば、民間と防衛の両分野で日英の関係強化が図られる象徴となるかもしれません。

【写真】これが海自向けの新型エアクッション艇「ワイバーンJ」です

Writer:

1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。

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