「ANAのパイロットになるための訓練」最前線に密着 “エグい”空港で行われる濃密な訓練… そして「国内初」の仕組みも導入
入社した後一から訓練を積み、パイロットに必要な資格を取得する「自社養成パイロット」。ANAはどのようにして次世代を担うパイロットを育てているのでしょうか。訓練プログラムの最前線を今回、取材することができました。
国内初導入の「訓練プログラム」とは
この仕組みについてANAのパイロット訓練教官は次のように説明します。
「CPL(事業用操縦士)とIR(計器飛行証明)は、エアラインパイロットにとって必要最低条件です。従来はこれらを別々に訓練し、それぞれ審査を行っていました。Integrated CPL/IR 訓練は、これらをセットで訓練し、審査もまとめて行うことで、訓練の効率化を図るものです。これにより、重複する訓練内容を一本化でき、フライトタイムで約30時間、期間にして約3か月の短縮につながっています。審査も、従来は4日から5日かかっていたものが2日で完了します」
またこのIntegrated CPL/IR 訓練は、効率だけではなく、実用的なエアラインパイロット育成のための一助にもつながっているともいえそうです。
「CPLとIRを別々に学ぶと、全く違う飛び方として認識してしまいがちです。それを混ぜこぜにすることで、訓練生にとっては『有視界飛行(VFR。管制官からの指示を必要としない代わりに、パイロット自身で外界を監視し安全を確保する飛び方)』と『計器飛行(IFR。定められた経路を飛ぶ、また常に管制官の指示に従って飛ぶ方式)』の頭の切り替えが求められ、難しい部分はあると思います。しかし、それは実際のエアラインのオペレーションに非常に近い環境であり、実践的な能力を養う上で良い効果があると考えています」
そしてこのサンフォード空港は訓練の専用空港ではないので、ジェット旅客機も発着するほか、多数の訓練機が矢継ぎ早に発着することが日常です。同氏はこの環境を「新人にとっては、今時の言葉で言うと”エグい”」と話します。
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