外環道「関越-東名」の事業費“4050億円”増額に それでは到底済まない!? 5年ぶりの事業評価で「現時点の総額」あきらかに
国土交通省 関東地方整備局は2025年10月9日、「東京外かく環状道路(関越~東名)」の事業再評価を行いました。
陥没事故から5年の変化が凝縮
国土交通省 関東地方整備局は2025年10月9日、「東京外かく環状道路(関越~東名)」の事業再評価を行いました。

この区間は大部分が地下60mより深い「大深度地下」を貫くトンネルとして建設されています。
前回の事業評価は2020年度に行われましたが、その後の同年10月、東名側から調布市内を掘り進んでいた本線シールドマシンの影響による地表面陥没事故が発生。それ以来、東名側からの2機のシールドマシンは掘進を停止したまま、約5年が経過し、その間の進捗や変化が共有されました。
地上部の用地取得率は全体では94%で、5年前から4ポイントアップ。大泉、中央、東名の3JCTとも99%です。唯一、進捗が芳しくないのが途中の青梅街道IC(仮称)ですが、それでも28%から55%まで進展しました。
現在は大泉JCTから南へ2機の本線シールドが掘進を続けているほか、各JCTにおいて、本線トンネルと地上を結ぶランプ部のトンネル工事・橋梁工事・改良工事などを実施しているということです。
事業費については今回、総額で4050億円増額の約2兆7625億円となる見込みであることが発表されました。内訳は次の通り。
(1)材料単価・労務費の上昇:約1700億円
(2)陥没・空洞事故を踏まえた再発防止対策等の履行:約910億円
(3)発生土における産業廃棄物及び改質材添加量の増加:約720億円
(4)換気所における換気ダクト等の設計変更:約200億円
(5)換気所における躯体容量の変更:約360億円
(6)地下水位の上昇による換気所における地盤改良等の追加:約160億円
それでも、費用に対してもたらされる便益(B/C)は、この関越~東名区間でも1.2、外環道全体では4.4と高く評価されました。特に、現状で未供用部分を含む圏央道や外環道、首都高C2中央環状線の「首都圏3環状道路」が完成することで、「毎年約1.0兆円の経済効果」が見込まれるとしています
ただし、関東地方整備局によると、上記の事業費にシールドトンネルによる地表面陥没事故で生じた道路の施工費以外の費用、すなわち周辺の地盤補修や、家屋の補償費など含まれていないといいます。
「今はまさに、住民の皆様の不安を取り除くため注力しているところ」といい、費用の算定には至っていません。また今後、「国と事業者(NEXCO東日本)の間で費用負担の在り方について協議する」予定だそうです。今後、トータルの事業費はさらに膨れ上がることが予測されます。なお、開通のめどは立っていません。
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