ビッグサイトの催事で「とんでもなく貴重な日産車」発見! 伝説の「本気すぎる“ゴーカート”」なぜこんなところに!?
「全日本模型ホビーショー」に、鉄道模型やミニカーを手掛けるトミーテックが子ども用ゴーカートを展示しました。実はこの車両、マニアの間では“限りなく本物に近いゴーカート”として知られています。
設計のベースは本物の軽自動車!
2025年10月18日から19日にかけて東京ビッグサイトで開催された「全日本模型ホビーショー」にて、鉄道模型やミニカーを手掛けるトミーテックが、ブース内に1台の子ども用ゴーカートを展示していました。実はこの車両、 “限りなく本物に近いゴーカート”としてファンに知られている存在です。

これは、日産自動車によって製造された「ダットサン・ベビイ」という車両です。ベビイは1965年、子どもたちへの交通安全教育を兼ねたアトラクション用のゴーカートとして100台が製造され、同年に開業した神奈川県の遊園地「こどもの国」で運用されました。
トミーテックは、こどもの国が2025年に開業60周年を迎えたことを記念して、同社のコレクター向けミニカーブランド「トミカリミテッドヴィンテージ」にてベビイをモデル化。今回はプロモーションの一環として、実車の展示が実現しました。
ベビイが子ども用のゴーカートとして画期的だったのは、多くのメカニズムを本物の軽自動車と共用していたことでした。自動車メーカーが本気で作った「子ども向けの遊具」だったのです。
ベースとなったのは、後に日産の子会社となった愛知機械工業が作った「コニーグッピー」という軽トラックです。グッピーは排気量200ccにも満たない超小型車でしたが、4輪独立式のサスペンションや、2段式のオートマチックトランスミッションなど、当時としてはかなり進んだ設計の持ち主でもありました。こうした設計の多くはベビイにも引き継がれました。
また、ベビイには本格的なスピードリミッター装置も装着されており、30km/hを超えるとエンジンは自動でカットオフされ、20km/h未満まで減速すると再始動する仕組みになっていました。
さらに、ベビイは極めてスポーティな専用ボディが与えられましたが、このスタイリングを担当したのは、当時若手だったデザイナーの松尾良彦氏です。松尾氏は後年、世界的ヒットを飛ばしたスポーツカーの初代「フェアレディZ」もデザイン。日産を代表する名車として高い人気を誇っています。
ベビイは、こどもの国で1973年まで稼働し、引退後は保管用の「100号車」を残して、ほとんどが解体処分されました。今回トミーテックが展示したのはこの100号車で、2015年にボランティア組織の「日産名車再生クラブ」によって、走行可能な状態へと復元されたものです。
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