九州へ運ばれた「常磐線の電車」使い道あきらかに 予想は的中も「ただし…」とJR九州幹部

JR東日本の常磐線で活躍していたE501系が2025年9月、JR九州へ甲種輸送され話題に。JR九州幹部は筆者の取材に応じ、その使い道を明かしました。

使うのは「あの区間」しかないでしょ

 JR九州は以前も、同じく常磐線で使われていた交直両用電車415系1500番台の1編成(4両)などをJR東日本から譲り受けていました。415系1500番台は今も現役です。この編成を含めた415系1500番台が重宝されているのは、本州と九州をつなぐ関門トンネルを経由して下関(山口県下関市)―小倉(北九州市)間を走る普通列車です。

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長らく関門トンネル区間で使われた415系の鋼製車はすでに引退している(画像:PIXTA)

 下関から関門トンネルにかけては直流区間ですが、九州側の門司(北九州市)の構内からは交流区間になっているため交直両用電車が使われています。こうした交直両用電車が必要になる区間はJR九州内で他にありません。

 筆者は勤務先の福岡支社在籍時から知己のあるJR九州幹部に「E501系は415系1500番台の代わりに関門トンネルを通る列車に使うという理解でいいですか」と直撃しました。

 幹部は国鉄時代末期の1986年に登場した415系1500番台の老朽化が進んでいるとし、E501系で置き換えることを認めました。

「社内で車両を新造するか、それとも他社からの中古車両を購入するかを検討した。交直流電車が必要なのは関門トンネル(を通る区間)だけのため自社で新造しても車両数が少なく、(1両当たりの)コストが高くなり中古のほうがはるかに安い。そこで、JR東日本がいらなくなったE501系を買うことを決めた」――こう教えてくれました。

「ただし」と幹部は続け、「E501系はあくまでもワンポイントリリーフとして使う計画だ」と明らかにしました。理由として、1995年に登場したE501系も「かなり使い込んでいるので長期にわたって運用するのは難しいためだ」と説明しました。

「ワンポイントリリーフ」の先に待ち受けるのは?

 それでは、E501系の後はどのような車両で置き換える可能性があるのでしょうか。幹部は現時点では決めていないとしながらも、「例えばJR東日本が交直流電車を新造する際に、一緒に発注する方法もあるのではないか」と指摘しました。

 このため、JR東日本がE531系を置き換える常磐線用の次世代交直両用電車を新造する際に、JR九州も同じ型式の車両を発注する可能性などが想定されます。

 JR九州広報部は筆者の取材内容について「現時点で当社から公表しているものはございませんので、回答は差し控えさせていただきます」とコメントしています。

「ワンポイントリリーフ」となるE501系がいつまで走り続けるのかは見通せませんが、常磐線から全て引退した後もJR九州が運用を続けるのは確実な情勢です。本州と九州を股にかけた“第二の人生”に期待が高まります。

【確定!】これが九州に運ばれたE501系に「置き換えられる電車」です(写真)

Writer:

1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学フランス語学科卒、共同通信社に入社。ニューヨーク支局特派員、ワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。「乗りもの」ならば国内外のあらゆるものに関心を持つ。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。

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