米空軍A-10、退役計画が廃案に 飛び続ける姿はしかし、「アメリカの苦悩」を象徴?

2016年1月、米空軍は攻撃機A-10の退役予定を無期限に延期する見込みであると報じられましたが、同年10月、改めてこの退役計画が廃案になったことが伝わってきました。しかし飛び続けるA-10の姿は、皮肉にもアメリカが抱える、とある苦悩を象徴しているといえます。

「21世紀の戦争」で、再び戦いの表舞台へ

 ところが21世紀に入ると、国家間の戦争の恐れはほとんどなくなり、アメリカにとって「対テロ戦争」が重視されるようになります。テロ組織は十分な防空能力を持たないことが多く、こうした場合、A-10は持ち前の大搭載量をいかした攻撃力がふんだんに発揮できます。

 現在、配備されているA-10は、エンジンや搭載システムを乗せ換えた「A-10C」にすべて近代化改修され、非常に強力かつ現代的な攻撃機として生まれ変わっています。かつて近接航空支援のエキスパートとして戦車500両を破壊し、またA-10の開発時にその伝記の閲読が命令され設計思想に影響を与えたという、ドイツ空軍の伝説的パイロット、ハンス・ウルリッヒ・ルーデル大佐以上の戦果を、各種最新鋭のシステムが可能にします。

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機首の30mm機関砲を射撃するA-10(写真出典:アメリカ空軍)。

 A-10Cは、地上軍とデジタルネットワークによって結ばれており、地上軍が指示した標的に対する攻撃は、誘導爆弾などによって迅速かつ必中です。ルーデル大佐でさえ不可能だった、「1回の出撃で搭載する武装の数だけ目標を破壊」などということもできます。さらにA-10Cが搭載する、昼夜兼用の赤外線前方監視センサー「スナイパーポッド」で、得た映像を地上へ送信することすら可能です。

 ルーデル大佐の愛機Ju87「スツーカ」も、速度の遅い攻撃機でした。そのため第二次世界大戦末期など、ドイツが劣勢であるときはほとんど使えませんでした。A-10Cは圧倒的な制空権を持っているアメリカ軍が使うので、現状A-10Cは「弱い者いじめをやりたい放題」となっています。

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