米空軍A-10、退役計画が廃案に 飛び続ける姿はしかし、「アメリカの苦悩」を象徴?

2016年1月、米空軍は攻撃機A-10の退役予定を無期限に延期する見込みであると報じられましたが、同年10月、改めてこの退役計画が廃案になったことが伝わってきました。しかし飛び続けるA-10の姿は、皮肉にもアメリカが抱える、とある苦悩を象徴しているといえます。

A-10、後継機計画も退ける

 A-10Cの後継はF-35Aが当てられる予定でしたが、やはりどうしても方向性が違う飛行機であったため、OA-X、AX-2なる後継機選定計画も持ち上がっていました。しかしこれらは、A-10Cに比べると小型で能力に劣り、さらにA-10Cを退役させたとしても新たに2機種を開発するのは効率的といえませんから、結局アメリカ空軍はA-10Cを残し続けるという決断を下したと推定されます。

 昨今はテロリストでも、携帯型地対空ミサイルを比較的、容易に手に入れることができるようになったので、A-10Cもまた同ミサイルの射程外になる高い高度で飛行するようになっています。固定武装として搭載する機首部の30mm機関砲で低空から地上掃射するような任務は減少し、誘導兵器の投射がメインになっていますが、それでもなお近接航空支援において、A-10Cの右に出る攻撃機・戦闘機は存在しません。

 もしソ連が存続し冷戦が続いていたならば、1970年代にさえ時代遅れだったはずのA-10に活躍の場所はなく、早々に退役していたかもしれません。しかし2020年代を見据える現代においてA-10が重要視される現実は、テロを根絶できずに苦悩するアメリカを象徴する、大いなる皮肉と言えるのかもしれません。

【了】

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