「まだ諦めてない!?」韓国“空母計画”が進化中! 狙いはまさかの「少子化対策」どういうこと?

韓国の首都ソウルで開催されていた武器見本市において、アメリカの大型空母に近似した外観の艦船模型が展示されていました。そこで担当者にハナシを聞いたら、韓国海軍が進める将来計画に沿って提案されたものでした。

韓国が無人運用に必死なワケは?

 ハンファ・オーシャンは以前にも「ゴースト・コマンダー」と呼ばれる無人機空母のコンセプト案を発表しています。ただ、この案は上下に分かれた飛行甲板を持つ多段式空母で、無人兵器プラットフォームとしての能力に特化しすぎた印象でした。いうなれば、アニメーション作品に出てきそうなSFじみたデザインであり、その実現性には疑問符がつくものでした。

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「ゴースト・コマンダーII」のコンセプト模型(布留川 司撮影)。

 前出の「ゴースト・コマンダーII」は、そんな無人機空母のアイデアに、最新の韓国の空母計画プランの要素を反映させ、より現実的な軍艦へとブラッシュアップしたコンセプトだといえるでしょう。

 韓国では日本よりも少子化が深刻で、将来の兵員不足も必ず起きる問題と認識されています。その不足した兵員を補うために陸海空のあらゆる分野で無人兵器の開発が国家的プロジェクトとして進められており、韓国海軍も有人艦艇と無人兵器(無人水上艇、無人潜水艇、無人航空機)を組み合わせた「ネイビー・シー・ゴースト」構想を2022年に発表しています。

「ゴースト・コマンダーII」もその名称からもわかるように、この「ネイビー・シー・ゴースト」構想を意識したものであり、無人機の発進プラットフォームと指揮艦となることを目指していると思われます。

 なお、搭載する無人機については複数の韓国企業が開発中で、今回の「ソウルADEX 2025」において複数の具体的な開発案が発表されていました。

 戦闘機も開発・生産しているKAIでは、武装が搭載可能な中型無人戦闘機MUCCAと、使い捨て小型協調機SUCAを発表し、それらを艦載機として運用する「NACS・フォー・ネイビー」というコンセプトも提案しています。また、大韓航空も国防科学研究所と共同で無人戦闘機LOWUSを開発中で、来年には試験機の初飛行にこぎつける計画だそうです。

 元々の空母建造を目指したCVX計画は、韓国周辺国の海軍増強や予算、政権交代などによって計画内容が二転三転と変化していきましたが、現在は少子化という避けられない現実問題によって具体的な方向性が定められたともいえるでしょう。

 今後の再度の計画変更や中断の可能性もありますが、韓国海軍では2030年代には独自の空母型艦艇の就役を目指している模様です。

【写真】スキージャンプ台まで付けた韓国空母コンセプトです

Writer:

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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