これがリニアの「本番仕様」だ! 金属むき出しの“新型車”に試乗 “黙って背もたれ倒す人”とかどうでもよくなる劇的進化!?
JR東海が山梨リニア実験線に改良型試験車「M10」を導入しました。新幹線の常識を覆す「リクライニング機能のない固定いす」が採用されましたが、そこには品川~名古屋間の乗車時間を踏まえた納得の理由がありました。
細か~く、かなり進化したリニア
背もたれをあらかじめ15度倒れた状態に固定したのは、背もたれを黙って倒した時に後列の顧客とのトラブルを回避するためでは――そんな考えもよぎりました。これに対し、JR東海山梨リニア実験センターの古賀俊作所長は「断じてない」と一蹴しました。
古賀所長は新たに採用した座席について「リニア(試験車両)のシートピッチ(座席の前後間隔)は新幹線よりも6cmほど短いので、座席をコンパクトにすることで足元のスペースを確保した」と説明しました。頭上に荷棚はあるものの、サイズの大きなものは載せられません。そこで、足元にスーツケースなど荷物を置くスペースを設けたと話します。
また、終点に到着後に折り返し運転をするため、座席を進行方向に自動回転する機能を取り付けたことも明らかにしました。東海道新幹線では終点到着後に清掃作業員が座席を回しているのを省力化できます。
座席の脇に収納できる小型テーブルのドリンクホルダーを彫り込んで厚さを抑えたり、窓の下の壁にくぼみを設けて窓際の乗客がひじ掛けを使いやすくしたりと「いろいろと設計の工夫をしている」(古賀所長)ことがよく伝わります。座席の背面には小物を掛けられるフックと、収納ポケットがありました。
さらに、天井には車内の反射音を低減するための幕を張っており、プロジェクターを使って走行中のリアルタイムの映像や速度、実験線のどこを走っているのかを示す地図などを投射していました。
品川―名古屋間は、約86%が暗闇のトンネルと地下を走ることになります。このため、古賀所長は「お客様が閉塞感を持たないように、青空とか景色とかを映し出してはどうかと検証している段階です」と解説しました。





コメント