降車ボタン押してても「通過します」!? 高速バス「東京の“ウラ停留所”」超便利なのにアピールしなくなったワケ

東名高速から首都高へ入ってすぐの用賀PAは、一部の高速バスが停車します。しかし、時刻表や予約サイトにその名はなく、まさに“幻の停留所”。同様のことが行われる他の首都高PAとも、対照的な存在となっています。

なぜ「正式」じゃないのか

そこで用賀PAに焦点が当たりました。朝の渋滞は用賀から先で起こることが多く、立地としては絶妙といえ、PA内にバス1台分の降車バースを整備し停留所を設けました。当初は、一人100円で田園都市線の用賀~渋谷に乗車できる引換券を乗務員が発行していました。

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首都高八潮PAに停まる高速バス。こちらは、つくばエクスプレス秋葉原駅まで100円で乗り継げる制度も継続している(乗りものニュース編集部撮影)

この引換券は、バス営業所での現場オペレーションが煩雑となるほか、東急電鉄と各バス事業者間の精算方法といった課題があり、早期に廃止となりました。しかし降車停留所としての機能はそのまま維持され、東名方面の一部の路線で停車が継続しています。

それなのに時刻表に記載がないのは、「正式な停留所」扱いとなっていないためです。

NEXCOが管理する高速道路(本線上や、SA、PA内)にある停留所は、複数台のバスが同時に停車できるうえ、さらに後続のバスが来ても車路上で待機する余裕があります。

しかし用賀PAは狭小で、降車バースは1台分がせいいっぱいです。複数のバスが連続して到着した場合など、降車ボタンが押されていても通過せざるを得ないこともあります。

そのため正式な停留所扱いされず、あくまで臨時停留所なのです。各地から用賀までの予約や乗車券購入(つまり運送契約)はできず、渋谷や新宿などへの乗客が、「前途放棄」(途中で降車するが差額の返金などを求めないこと)により用賀で降車するという扱いになっています。

バス事業者の対応も、「渋滞発生時のみ、用賀停車を案内する」「渋滞の有無にかかわらず案内する」「臨時停車の対象外」など各社で分かれます。

同様に実証実験からスタートした八潮PAの臨時停車が、本格運用に移行したのとは対照的です。やはり、用賀PAの面積が狭く「場合によっては通過せざるを得ない」リスクが影響しているようです。

なお、実証実験ではなく、自然発生的に渋滞時に鉄道への乗り換えが行われている例として、前述の東名江田(東急田園都市線、横浜市営地下鉄ブルーラインあざみ野駅へ徒歩10分)に加え、中央道日野(多摩都市モノレール甲州街道駅へ徒歩7分)、大阪・千里ニュータウンの桃山台(北大阪急行桃山台駅すぐ)、明石海峡大橋の高速舞子(JR神戸線舞子駅、山陽電鉄舞子公園駅の真上)などの停留所があります。

【「入っちゃいけない感」がスゴイ!?】高速バス「用賀PA乗り継ぎ」をやってみた!(写真)

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