降車ボタン押してても「通過します」!? 高速バス「東京の“ウラ停留所”」超便利なのにアピールしなくなったワケ

東名高速から首都高へ入ってすぐの用賀PAは、一部の高速バスが停車します。しかし、時刻表や予約サイトにその名はなく、まさに“幻の停留所”。同様のことが行われる他の首都高PAとも、対照的な存在となっています。

首都高の渋滞対策で生まれた停留所

静岡、神奈川方面から東名高速道路を東に向かい、本線上の東京料金所(神奈川県川崎市)を通過すると、多摩川を渡ってすぐに東京インターです。その先は首都高速3号渋谷線で、高速バスの車内からは都心の高層ビル群を望めます。終点の渋谷マークシティやバスタ新宿もまもなくです。

Large 20251109 01

拡大画像

用賀PAに停まる高速バス(成定竜一撮影)

ところが、便によっては「まもなく用賀パーキングエリア(PA)です」と車内アナウンスが入ることがあります。

用賀PAに停車するとの情報は、バス事業者の時刻表には記載されていません。予約サイトでも、東名江田(横浜市)、東名向ヶ丘(川崎市)など高速道路本線上の停留所までの予約は取れますが、用賀はその中に入っていません。

ただ、首都高速3号線は用賀から渋谷まで東急田園都市線と並走します。同線用賀駅は用賀PAのほぼ真下にあり、特に首都高速の渋滞時には鉄道への乗り換えは有効といえるでしょう。

事前に予約できない”幻の停留所“。なぜ正式な停留所扱いにならないのでしょうか。

用賀PAは、3号渋谷線の都心方面の車線に設けられています。ここに停留所が設置されたのは2010年のことです。国土交通省関東運輸局らによる実証実験の一環でした。

実験の目的は「高速バス&レールライド」です。首都高速が渋滞した際に、都心に入る手前で鉄道に乗り換えることで定時制を確保するという試みです。先行して、6号三郷線の八潮PA(つくばエクスプレス八潮駅へ徒歩すぐ)でも同様の実験が行われています。

対象となる高速バスは、昼行路線です。高速バスのうち、片道2~4時間程度の中距離路線は「地方の人の都市への足」として成長し、大都市への出張やショッピングなど多様な需要があり、片道1時間ほどの短距離区間では通勤通学需要も少なくありません。御殿場や神奈川県西部から都内への高速バスは、1時間あたり数本と高頻度で運行している上、区間によっては鉄道より速く到着します。

しかし、課題もあります。上り便、特に朝7~9時台に都心に到着する便は、首都高速の渋滞による遅延が懸念されます。

【「入っちゃいけない感」がスゴイ!?】高速バス「用賀PA乗り継ぎ」をやってみた!(写真)

最新記事

コメント