降車ボタン押してても「通過します」!? 高速バス「東京の“ウラ停留所”」超便利なのにアピールしなくなったワケ

東名高速から首都高へ入ってすぐの用賀PAは、一部の高速バスが停車します。しかし、時刻表や予約サイトにその名はなく、まさに“幻の停留所”。同様のことが行われる他の首都高PAとも、対照的な存在となっています。

秘密の通路感がスゴイ!?

さて、用賀PAで降車するとトイレや自動販売機を利用できますが、あくまで降車であって休憩ではないので、バスに戻ることはできません。

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高速バス車内での用賀PAの停車案内(成定竜一撮影)

そして、高速バス降車客に限り、業務用(兼)非常用の階段で地上へと降りることができます。この階段は、しゃれた意匠がなされた休憩施設と対照的にコンクリートがむき出しで薄暗く、ちょっとした秘密基地のような趣があります。地上には常時施錠の扉があり、一般客は、出ることはできますが入ることはできません。ここから用賀駅まで300mです。

田園都市線に乗れば渋谷まで11分で着くうえ、そのまま東京メトロ半蔵門線に乗り入れます。JR山手線をはじめ各路線へも乗り換えできます。反対方向に乗ると東急各線やJR南武線への乗り換えも容易で、東京都城南地区、神奈川県の川崎、横浜両市の居住者にも便利です。

首都高速3号線では、池尻、三軒茶屋の出入口改良や付加車線増設を含む更新事業が2027年度に完成予定で、渋滞の緩和が期待されます。さらに、渋谷駅の東側の宮益坂地区には、首都高渋谷出入口の目の前に、新しい高速バスターミナルが2029年度に開業予定です。これらが完成するまで、上り線渋滞時の代替ルートとして、また東急沿線居住者向けの「地元バス停」として、用賀PAの臨時停車は重宝しそうです。

【「入っちゃいけない感」がスゴイ!?】高速バス「用賀PA乗り継ぎ」をやってみた!(写真)

Writer:

1972年兵庫県生まれ。早大商卒。楽天バスサービス取締役などを経て2011年、高速バスマーケティング研究所設立。全国のバス会社にコンサルティングを実施。国土交通省「バス事業のあり方検討会」委員など歴任。著書に『高速バスのビジネス』(成山堂書店)、『「マーケティング感覚」の実装力』(同文舘出版)。新聞、テレビなどでコメント多数。

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