新戦闘機の共同開発が“空中分解”寸前か 仏「単独でやれる」 独「年内に合意なければ離脱」 いちばん困る国はどこだ?

ドイツがフランス、スペインと共同開発中の次期戦闘機「FCAS」から離脱する可能性が報じられました。開発の主導権争いが原因とされますが、もし計画が空中分解した場合、ドイツにはどのような選択肢があるのでしょうか。

「スウェーデンさんやろうよ!」もありうる?

 ポリティコはもう一つの選択肢として、スウェーデンとの協力を挙げています。

 スウェーデンはもともと、イギリスとの間で次世代戦闘航空システムの開発について協力協定を締結していますが、GCAPには参加していません。スウェーデンで防衛装備品の開発や調達を統括する国防資材管理局は2025年10月にサーブとの間で、将来戦闘機システムのコンセプト研究の継続契約を締結しており、将来航空戦闘システムの核となる将来戦闘機を、独自開発する方針のようです。

 サーブが研究を進めている将来戦闘機が有人機になるのか無人機になるのかは予測できませんが、新型対艦ミサイル「RBS15 Mk4」の共同開発や、ドイツが導入を決めた、おそらくユーロファイターの最終進化系になるであろう「トランシェ5」には、サーブが開発した電子戦システム「AREXIS」が搭載されるなどしています。ドイツとスウェーデンは防衛装備品で良好かつ密接な協力関係を構築しており、ドイツにとって組みやすい相手と言えるでしょう。

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 ドイツはユーロファイターのトランシェ5に加え、F-35A戦闘機 35機の調達も決定しており、F-35に関してはドイツの国防予算増額により、追加調達される可能性があるとも報じられています。

 FCASが空中分解してもドイツは当面、空軍戦力の近代化を達成できる目途が立っているといえます。FCASの空中分解で一番困るのは、“ドイツ抜きでもできる”と豪語したフランスとダッソー・アビエーションなのかもしれません。

【ここまで作ってるのにね…】これが「FCAS」の新戦闘機です(写真)

Writer:

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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