危険海域もおまかせ? 無人潜水艦が“世界初”の技術を用いて自律潜航を実施 イギリス
イギリス海軍は2025年10月28日、自律行動で航行する無人潜水艦「XV Excalibur(エクスカリバー)」が、世界初の量子光時計の実証に成功したと発表しました。
世界初の実証実験を実施
イギリス海軍は2025年10月28日、自律行動で航行する無人潜水艦「XV Excalibur(エクスカリバー)」が、世界初の量子光時計の実証に成功したと発表しました。
中性原子量子技術の研究企業インフレクションとの実験では、原子やイオンの量子状態の遷移を利用して極めて正確な時間を計測する量子光時計を搭載。無人潜水艦での航行・潜航における位置や航法の精度を飛躍的に向上させる試みが行われました。
水中ではGPSの電波がほとんど届かないため、潜水艦はジャイロスコープや加速度計を用いた慣性航法装置(INS)で相対的な位置を計算します。しかし従来のマイクロ波原子時計を用いたINSでは、時間経過とともに誤差(ドリフト)が蓄積し、GPSなしでは精度が低下します。
有人潜水艦では水面にスナークアンテナや衛星通信アンテナを出して位置を補正できますが、自律潜航する無人潜水艦では浮上せず任務を続ける必要があり、従来方式では補正が困難です。
その誤差を修正するのが、量子光時計であり、従来の時計とは比較にならないほどの精度で時を刻むことが可能で、INSのドリフトを劇的に改善することが可能になるそうです。今回の実験ではエクスカリバーに量子光時計を搭載し、複数回の潜航を実施。安定して動作することが確認されました。
同艦には、有人潜水艦では難しい敵国沿岸や潜水艦密集海域などの危険海域での長期間偵察任務、機雷掃討、潜水艦追跡などの無人任務が計画されており、量子光時計により自律航行精度や作戦持続性の大幅な向上が期待されています。





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