すべて話そう…「バス停撤去しなさい!」勧告→撤去までの顚末 だから市内随一の観光地に「うちは停まらないことにした」

JR仙巌園駅前に残されたバス停が撤去され、鹿児島交通は停留所を廃止しました。同社を率いるいわさきコーポレーションの岩崎芳太郎会長が、廃止という“荒療治”に至った顛末を明らかにしました。

バス停を利用する2社で対応が二分

 JR九州が2025年3月に開業した新駅「仙巌園」(鹿児島市)の駅前の国道上にポツンと残されたバス停標識が撤去されて、2か月余り。バス停の移設を拒否し、廃止した鹿児島交通のトップが決断の背景を激白しました。

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2025年3月、国道10号の左折車線に残されていた「仙巌園前」のバス停標識。8月に撤去された(大塚圭一郎撮影)

 現在の鹿児島県と宮崎県南部からなる薩摩藩の藩主だった島津家の別邸「仙巌園」の前に2025年3月、JR九州日豊本線の仙巌園駅が開業しました。その駅前、クルマの往来の激しい国道10号の道路上の落ち着かない場所に「仙巌園前」と記されたバス停の標識がポツンと残されてきましたが、鹿児島県バス協会によって8月28日夜に撤去されました。

 このバス停は鹿児島交通と南国交通のそれぞれ鹿児島中央駅行きバスが使っていました。標識の撤去後、南国交通は国道10号沿いの歩道に切れ込みを入れて路線バスが停車できるようにしたスペース(バスベイ)を使うようになりました。

 一方、鹿児島交通は8月31日をもって鹿児島中央駅方面の停留所を廃止し、対応が二分しました。

 この停留所の近くには仙巌園のほか、世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成遺産の旧集成館もあり、観光客らの乗降が見込めます。にもかかわらず、なぜ鹿児島交通は廃止という“荒療治”を選んだのでしょうか。

 鹿児島交通などを抱えるいわさきコーポレーション(鹿児島市)の岩崎芳太郎会長が筆者(大塚圭一郎:共同通信社経済部次長)のインタビューに応じ、廃止の決断に至った理由を打ち明けました。

【なるほど“ポツン”だ…】問題のバス停(地図/写真)

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