「建造OKでた!」韓国の原子力潜水艦、そもそもつくれるのか? 「ならば日本も…」は現実的? 日韓の大きな“差”
トランプ大統領が韓国の原子力潜水艦建造を容認しました。30年来の悲願達成へ道が開けましたが、韓国側の課題は山積。日本の保有議論にも影響を与えそうです。
韓国30年来の悲願達成へ しかし…
アメリカのドナルド・トランプ大統領が2025年10月30日、韓国向けの原子力潜水艦(原潜)の建造を容認したと発表しました。前日の29日にトランプ大統領と首脳会談を行った韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は、北朝鮮(朝鮮人民民主主義共和国)や中国の脅威を理由に、原潜導入へのアメリカ政府の理解を求めていましたが、それが受け入れられた形です。
韓国の原潜保有は30年余来の悲願です。北朝鮮が1993年にNPT(核拡散防止条約)から脱退し、核兵器の開発に舵を切ったことで、韓国は北朝鮮の脅威への対抗手段として原潜の導入を検討してきました。しかし、技術面や財源の問題に加え、アメリカが核不拡散原則を挙げて原潜の燃料となる濃縮ウランの供給を拒んだことなどから、実現に至っていませんでした。
トランプ大統領の決定により、韓国は悲願達成への道が開けたと言えるのですが、それを成就するためのハードルは極めて高いのではないかと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。
韓国の原潜についてトランプ大統領は、韓国の造船企業であるハンファ・オーシャンが買収したフィラデルフィアの造船所で建造される見込みであると述べています。しかし、李大統領や韓国政界、韓国海軍は国内での建造を希望しています。
11月4日付の韓国の新聞「中央日報」は専門家の話として、仮にフィラデルフィアで建造する場合、建造インフラの整備には3~5年かかるうえ、国内で建造するより3~4倍の費用がかかると報じています。
韓国政府もこうした指摘は承知しているようで、安圭佰(アン・ギュベク)国防部長官も国会で、「韓米間の追加の話し合いを必ずやらなければならない」と述べています。
原潜保有に向けた韓国の動きは、日本にも影響を与えています。小泉進次郎防衛大臣は11月6日に出演したテレビ番組でも、周囲の国が原潜を保有していること念頭に、ディーゼル動力ではない原子力の選択肢を排除せず議論する必要性に言及しています。
また、9月19日に開催された「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」でも、潜水艦の「次世代の動力を活用することの検討を含め、必要な研究・技術開発を行っていくべき」という提言がなされています。





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