救急車を「マイカー」にしてる人がいた! 「自分にとってはベストなクルマ」 と語る理由とは?
人々の命を救うために活躍する救急車。その役目を終えた車両を、敬意をもって自家用車として使用している人がいます。一体なぜ救急車を選んだのでしょうか。
数少ない難点のひとつは「高齢者の方が住む家に行けない」こと
さらに関根さんによると、数ある“はたらくクルマ”の中でも救急車をチョイスしたのには、合理的な理由があるのだそう。
「実は僕は、事故で怪我をしてしまったため右足が使えず、オートマチック車でないと運転できないんですよ。それでいて、趣味で集めているスクーターや昭和レトロな雑貨をクルマに積んで運ぶ機会も頻繁にあるんです。こういった用途や条件を考えると、救急車を自家用車として乗るのがベストだったんです」(関根さん)
しかも、意外にも救急車は自家用車としてもかなり優秀だといいます。「オートマチックで、ハイルーフで、雨が降ってもウォークスルーで荷物を出し入れできる。使い勝手がかなり良くて、全く不満はないです」と関根さんは語ります。
ところで、クルマ好きとして気になるのが、中古車としての救急車のコンディションです。実用車として働き、使い込まれた後に売却されているわけですから、それなりに劣化が進んでいるようにも思います。
「購入時は13万キロくらいの走行距離でしたが、オルターネーターがパンクする程度で、今のところ何も問題ないですね。ただ、このモデルは廃盤なので、今後トラブルが起きたときにパーツが出るかどうかはわからないというのが、強いて言えば不安でしょうか」(関根さん)
まさに関根さんにとって「良いこと尽くし」な“マイ・救急車”ですが、一方で「数少ない困りごともある」のだとか。
「たとえば、交通事故が起きた直後の現場を通った際に、呼び止められてしまうこと。あと、高齢者の方が住む家に自分の救急車で行くと、近所の人たちが『何かあったんじゃないか』って、ワーッと出てきちゃうんです。これは困るので、高齢者の方が住む家に行く際は、心配させないように離れたコインパーキングに停めるようにしています」(関根さん)
人々の暮らしを支えてきたのに、役目が終わるとその姿が残らない形で処分されるのは、あまりに悲しい。そんな思いで救急車を自家用車にした関根さんですが、実は救急車に限らず、趣味でコレクションしているもの全般に「共通する思いがある」と関根さんは言います。
「所有欲ももちろんありますが、やはり歴史を持つ古い物を『残したい』という気持ちですね。古い物って、時代が進むにつれてどんどん捨てられていってしまう。それが悲しいので、できる限り集めるようにしています」(関根さん)
Writer: 松田義人(ライター・編集者)
1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。





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