衝撃の「ロングシート“有料座席”」本当にうれしーのか? 大阪横断の新サービス 乗ってわかった狙い
JR西日本が有料座席サービス「快速 うれしート」をロングシートでも導入。車内を「のれん」で仕切り、12席を有料扱いとしています。どのように使われているのか、実際に乗ってみました。
「のれん」に気付かない人も?
JR東西線は大阪駅を通りませんが、大阪駅に最も近いのが北新地です。北新地では多くの乗客が乗車し、座席が埋まって立席が出るようになります。
「うれしート」については、車内に加えて駅でも案内放送が行われています。そのため大半の乗客は「うれしート」を認識しており、避けて乗車しています。
「うれしート」の有料エリアに入ってくる利用者もいますが、「のれん」の存在に気付いて立ち去ってしまいます。しかしなかには、着席してから有料であることに気付き、「うれしート」の有料エリアから出ていく人や、乗務員に促されてようやく「うれしート」の有料エリアから去っていく人もいました。「のれん」が目の前にありますが、それでも気付かない人もいるようです。
北新地の一つ隣、大阪天満宮では2人が加わり、これで「うれしート」の利用者は5人となりました。
学研都市線・JR東西線の「うれしート」は6人がけのロングシート二つを有料としています。定員は合計12人で、このときの利用率は約4割。「うれしート」は端の席が埋まり、端に座れなかった人は中央の座席を利用していました。
「うれしート」では、予約の際に座席の位置を指定できます。「うれしート」が設定された他の列車の状況を見ても、やはり端の席から埋まっています。
さて、列車が京橋に到着すると、「うれしート」以外は通路までギッシリと埋まるほどの混み具合となりました。ここで「うれしート」から乗客が1人降りていきましたが、お試し利用だったのでしょうか。
京橋を出ると、郊外の長尾まで通過駅が設定されて快速運転が行われます。途中の快速停車駅では、「うれしート」以外の一般の客室から乗客が降りていく流れで、列車は少しずつ空いていきます。「うれしート」の乗客も途中の四條畷(しじょうなわて)で、1人降りていきました。
次いで、長尾で「うれしート」の乗客が2人降りていき、ここから先で「うれしート」に乗車している客は筆者1人だけとなりました。
一般の座席で立席の乗客がいなくなったのは一つ先の松井山手で、ここから先は一般の座席も空席が目立つようになります。学研都市線のなかで、大阪の都心部と郊外を結ぶ役割を持つのが京橋~松井山手間で、乗客の流れと合っています。
乗車があった大阪天満宮から四條畷までの所要時間は約20分、長尾までは30分弱で、最低300円支払うと着席できる意義は大きいはずです。しかし、学研都市線から少し離れて路線が並行している京阪電車は、座席指定特別車両の「プレミアムカー」が400円から500円で利用できてしまうため、見劣りは否めないのかもしれません。
学研都市線・JR東西線の「うれしート」はラッシュのピークを避けて設定され、設定本数も少ないのが現状です。今後、「うれしート」の利用が定着するのか、注目されるところです。
Writer: 柴田東吾(鉄道趣味ライター)
1974年東京都生まれ。大学の電気工学科を卒業後、信号機器メーカー、鉄道会社勤務等を経て、現在フリー。JR線の2度目の「乗りつぶし」に挑戦するも、九州南部を残して頓挫、飛行機の趣味は某ハイジャック事件からコクピットへの入室ができなくなり、挫折。現在は車両研究が主力で、技術・形態・運用・保守・転配・履歴等の研究を行う。鉄道雑誌への寄稿多数。資格は大型二種免許を取るも、一度もバスで路上を走った経験なし。





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