こ、これが無料…? 島の丘に立つ「やけに立派な展望台」360度ガラス張りの絶景! お金かかってそうなのに「ご自由にどうぞ」のワケ

世界自然遺産・奄美大島にある立派な展望台は、周辺施設が入場料を徴収するなか、なぜか無料です。背景を探ると納得の理由がありました。

まさかの入場無料!

 世界自然遺産の登録地域を擁している奄美大島(鹿児島県奄美市)の奄美空港から南へ約2kmの場所に、観光施設「奄美パーク」があります。奄美空港から奄美パークへ向かって県道82号を南下すると目を引くのが、敷地内にある高さ約30mの展望台です。まるでパリの凱旋門を細長く、高くしたような特徴的な形は、遠目からでも目立ちます。

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奄美パークにある展望台(大塚圭一郎撮影)

 奄美パークの営業時間内であれば展望台に上がれると知り、奄美大島を訪れた筆者は奄美空港から路線バスに乗って立ち寄ることにしました。2つ先の停留所「奄美パーク」の目の前には、ドーム状の屋根になった広大な施設「奄美の郷(あまみのさと)」がそびえています。入場してスタッフに「展望台の入場券はどこで買えるのですか」と質問すると、「無料で自由にお入りいただけます」との答えが。「あんな立派な建物を造るのにかなりの資金を投じただろうに」と、入場料が無料なことに驚かされました。

 なぜこれほど立派な施設が造られたのかを探ると、納得の理由がありました。

奄美の目玉施設が複数集結した「奄美パーク」

 奄美パークの主要施設は3つあります。展望台と「奄美の郷」、そして奄美の自然を題材にした日本画家の故・田中一村(たなかいっそん)氏(1908~77年)の作品を集めた美術館「田中一村記念美術館」です。

「奄美の郷」内では奄美諸島の自然や文化、歴史を紹介しています。「アイランドインフォメーション」というコーナーでは、奄美群島に関する幅広い情報について模型を用いながら説明しています。また、鹿児島県瀬戸内町の古志集落から移築した民家もあり、昔の遊び道具も展示していることから「遊びの庭」と名付けられています。

 ともに入場料が必要な「総合展示ホール」には奄美の海や森、昭和30年代の集落の様子を実物大模型も交えながら再現し、ホールになっている「奄美シアター」では奄美群島を船で巡った映像などを上映します。

 同じく有料の「田中一村記念美術館」は、奄美の伝統建築「高倉」をイメージした建物で、代表作「不喰芋と蘇鐵(くわずいもとそてつ)」などの絵画が展示されています。栃木県出身の田中氏は50歳で奄美大島に移住し、奄美大島の伝統工芸品である織物「大島紬(おおしまつむぎ)」の工場で染色工として働きながら絵筆を執りました。奄美に自生する亜熱帯植物や、魚などを題材にして日本画の新境地を切り開きましたが、生前はほとんど知られておらず、没後に高く評価されるようになりました。

 美術館の周辺は「一村の杜」と名付けた庭園になっており、田中氏の絵に描かれている亜熱帯植物が生い茂っています。

【上から見たらわかる!】これが無料展望台の「正体」です!(写真)

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