「なぜSUVに?」乗ってわかった新型「リーフ」の正体 走りはまさかの“普通”狙い?
フルモデルチェンジで3代目となった日産「リーフ」は、ハッチバックからクーペSUVへと大変身を遂げ、航続距離などの性能面も大幅に進化しました。その乗り味をリポートします。
クルマとして、EVとしてレベルアップ!
大きく変わったのは外見だけではありません。
パワートレインは、発電機やモーター、インバーターなどのEVの基幹部品を一体化した小型・軽量なユニットを新開発しました。また、ボディ構造にはフラッグシップBEVの「アリア」と同じプラットフォームを採用。設計を根本から刷新しました。
特に最も進んでいると感じたのは、カーナビゲーションと連動したバッテリーの温度管理システムです。このシステムは、ドライブルートにおける上り・下り勾配や渋滞を考慮して温度管理を行うほか、長距離移動時には、目的地周辺の充電ポイントまで加味してシミュレーションを構築します。さらに充電口は150kWの急速充電にも対応しており、出先での素早い充電も可能です。
インパクトは無い、だけど“それが良い”
大進化を遂げた新型リーフですが、今回、追浜テストコースで実際に乗ってみて感じたのは、「いい意味で」普通のクルマだということです。これは“凡庸”とか“無難”だという意味ではありません。
BEVは多くの場合、「モーター駆動であること」をアピールするような乗り味にされており、特にスロットルなどは、操作に対して鋭く反応するモデルが大多数です。その一方、新型リーフはあえて鋭く加速しないよう、素直な味付けに抑えられている雰囲気でした。従順な反応を示してくれるので、一般的なガソリン車やハイブリッド車から乗り換えたユーザーでも、これなら自然と馴染むことができるでしょう。
唯一、長く旋回の続くコーナーでロールが大きかったのは気になりました。日本仕様は乗り心地を考え、バネレートと減衰力を落としているそうですが、これならヨーロッパ仕様のサスペンションの方がよかったのかもと感じました。このあたりは今後、公道でもチェックしたいところです。
新型リーフはパッケージングや基本設計を刷新したほか、利用実態を考えたバッテリー管理や自然な乗り味など、実際に乗ってみて“ありがたさ”を感じられるメカニズムや機能を多く採用しました。全体的に強烈なインパクトを狙っていないぶん、長く付き合えそうなクルマだと、筆者(モータージャーナリスト・西川昇吾)は感じました。
Writer: 西川昇吾(モータージャーナリスト)
1997年生まれ、日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブ媒体、ファッション誌などで、新車情報からカスタムかー、旧車、カーライフお役立ちネタまでクルマに関して幅広く執筆。自身でのレース活動も行っている。





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