これは分かりやすい! 小田急「赤い1000形」デビュー 現地で分かった「色替え」の効果

箱根登山線の小田原~箱根湯本間で「赤い1000形」の運行が始まりました。現地でどのように受け入れられているのか、実際に現地を訪れてみました。

実際に「赤い1000形」に乗ってみると

 小田原から箱根湯本まで「赤い1000形」に乗車してみましたが、まず感じたのは「分かりやすい」ことでした。

 小田急の小田原駅では、新宿方面へ向かう小田急線の列車と、箱根方面へ向かう箱根登山線の列車が同じ構内を発着しています。新宿方面、箱根方面とも、小田急の車両が使用されていますが、同じ色の車両だと「どちらに乗れば良いのか」が分かりにくいのが実態です。乗り場や列車の行先表示を確認すれば良いのですが、利用者を観察していると、迷っているためか、乗務員に行先を尋ねている姿をよく目にしました。

 小田急では車両の色や駅の看板などに青色が、箱根登山線では赤系の色が用いられています。今回「赤い1000形」が箱根登山線を走ることになり、箱根登山線は赤系の色に揃えられています。これにより、直感的に分かりやすくなったのか、従来の青系の車両よりも迷っている利用者が少ない印象を受けました。

 運行初日は平日でしたが、乗客は地元客と観光客が半々という印象でした。沿線では「赤い1000形」を目当てに撮影するファンの姿も見られましたが、ファン以外は列車にカメラを向ける人は見当たりませんでした。

 先の通り、車内には箱根の風景写真が飾られていますが、観光客が一瞬話題にする様子も見られました。地元客は通勤電車でよく見られるようにスマートフォンに夢中な人ばかりですが、観光客は列車そっちのけでお喋りに夢中でした。

 箱根登山線の小田原~箱根湯本間の列車は、小田原と箱根湯本の駅構内の端で発着するため、進行方向で後ろの車両に混雑が集中しています。車内が混み合っている上に、スマートフォンやお喋りに夢中になっている状況では、電車の装飾にまで目が向かないのかもしれません。

 赤い1000形は今回の1066編成のほか、2026年3月までに1063~1065編成も加わって4本となる予定です。また、2026年3月からはワンマン運転が本格化する予定で、2025年11月からワンマン運転の習熟運転が行われています。

 なお、「赤い1000形」は小田原~箱根湯本間のほか、小田急線内を走ることもあります。これは、小田急線の海老名にある車両基地で車両のメンテナンスを行うためです。車両基地への出入りを兼ねて小田急線内で営業運転を行う列車もあります。平日朝に設定されている箱根湯本発新松田行きや、平日・土休日の夜間に設定されている伊勢原発23時台の各停小田原行きにも使用されています。

 今回の「赤い1000形」は、箱根登山線で営業運転を開始する前日の2025年11月26日に小田急線内で営業運転を開始しました。伊勢原発小田原行きの各駅停車に使用されたのが最初で、翌日から箱根登山線で使用するために、送り込みを兼ねた列車に充当されています。

【写真】「赤い1000形」ここが変わった!

Writer:

1974年東京都生まれ。大学の電気工学科を卒業後、信号機器メーカー、鉄道会社勤務等を経て、現在フリー。JR線の2度目の「乗りつぶし」に挑戦するも、九州南部を残して頓挫、飛行機の趣味は某ハイジャック事件からコクピットへの入室ができなくなり、挫折。現在は車両研究が主力で、技術・形態・運用・保守・転配・履歴等の研究を行う。鉄道雑誌への寄稿多数。資格は大型二種免許を取るも、一度もバスで路上を走った経験なし。

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