スゴすぎる!? 2000人住める「トヨタが作った街」に潜入! レッカーつきカーシェア 常に青の信号!? 始まりは「従業員の直談判」
ついに施設の一部がオープンした静岡県裾野市のトヨタ・ウーブンシティ。トヨタが「スマートシティ」ではなく「モビリティのテストコース」と呼ぶ理由と、現地で見た未来のモビリティについてレポートします。
ロボットがクルマを玄関まで連れてきてくれる!
次に見たのは、自律走行ロボットの「ガイドモビ」です。このロボットは、カーシェアに関わる新たなサービス「サモンシェア」の鍵となる存在で、シェアする車両を、住民がアプリで指定した場所まで“連れてきて”くれるのです。
ガイドモビは一見すると、空港などで見かける警備ロボットを大きくしたような印象ですが、自動運転に必要なセンサーやコンピューターが全て埋め込まれており、しっかりとした大きな車輪がついているのが特徴的です。建物内など限定された場所ではなく、舗装された道路での走行を想定しているのだと感じました。
ガイドモビが先導するカーシェア車両は、完全自動運転の装備がなくても、「トヨタセーフティセンス」の搭載車で、かつ小型の通信機を後付けしていれば、どんな車両でもOK。カーシェア車両のアクセルやブレーキ、ハンドルなどの操作は全てガイドモビが考えて通信制御するので、連なって走ることができるという仕組みです。
イメージとしては、電子的にクルマをレッカーで運んでいるような感じでしょうか。現在はテスト中のため、カーシェア車両にはスタッフが乗車していますが、基本的には完全な無人化を前提としたシステムです。ガイドモビさえあれば、利用者の元までクルマを運転して運ばなくて済み、また自動運転専用のシェア車両も必要なくなるのがメリットです。
ガイドモビによって、現在クルマは呼べば10〜15分程度で来てくれます。また、帰りも「返却リクエスト」をすると、指定した場所まで連れて帰ってくれるのが便利。玄関先で荷物を下ろしてから、再び返却場所へ運転していく手間が省け、空港などで離れた場所に停めたマイカーと、送迎車を入れ替えるような手段としても有効ではないかと感じました。
トヨタでは、ディーラーでの車両搬送などの用途も想定しているといいます。当面の課題は、最高速度が8km/hなのと、一度に1台しか先導できないことだそうです。
ウーブンシティでは、こうした新しいプロダクトやサービスが、スタッフと住人や来訪者によってテストされています。自分の何気ないアイデアやひと言が、トヨタの知見や技術との“カケザン”につながる。それが世界を変える、まだ存在しない価値を創るきっかけになるかもしれない。ウーブンシティはそんなワクワクに満ちた、“暮らしのテストコース”なのだと感じました。
Writer: まるも亜希子(カーライフ・ジャーナリスト)
カーライフ・ジャーナリスト。20年以上に及ぶ国内外での取材経験を生かし、雑誌・ウェブサイト・TV・ラジオ・トークショーなどに出演・寄稿する他、安全&エコドライブのインストラクターも務める。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(2006年〜)。現在はYoutube「クルマ業界女子部チャンネル」でもユルく楽しいカーライフ情報を発信中。




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